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無題

何かと何かをくっつける時、必ず継ぎ目ができる。その継ぎ目が脆くなり、ほつれた時、2つは離れ離れになる。 私は悲しくなると海へ行く。空と海がくっついているように見えるから。鳥は知っている。彼らが永遠に平行であることを。私は知らないふりをする。壊れないために、壊さないために。 鳥は言葉を知らない。私は言葉を知っている。 あるとき、言葉は糸切り鋏で、 あるとき、言葉は糸になる。

    • 最近大人になりたくない。

      「もし、1億円あったらなにがしたい?」 昔、小学校くらいで流行ったプロフィール帳にはそんなことを書く項目があった気がする。お金って、あればあるほど、いいよね。 あるに越したことはないし。 でも、1番怖いものかもしれない。 生活の至るところにお金が必要。 ごはんを食べるにも、お風呂に入るにも、ケータイを充電するにも。 私は、今までお金で苦労したことはない。 父や母は、ひとり暮らしをしたいといえば、家具を買ってくれて、家賃を出してくれた。 電気代、水道代、ガス代。学費も同じ

      • 春愁 序

        ただいま。 今日も仏壇に線香を焚き、彼が好きだった糸印煎餅と煎茶を備え、手を合わせる。 おかえり。 どこからともなく声が聞こえた気がした。 季節は巡る。 私が変わっても、環境が変わっても、変わらない景色がそこにある。 小さな町工場の前。 一角に佇む桜の木。 寂しそうに、それできて地に根をしっかりと張るその姿にどことなく遠い昔の懐かしさと強さを感じる。 あれはいつのことだっただろうか。 共働きだった両親の代わりに、いつも私と一緒にいてくれたのは祖父母だった。 小学校からラン

        • +3

          イタリア旅行 ミラノ(2/25〜28)

        無題

          谷川俊太郎、岡野大嗣、木下龍也      「今日は誰にも愛されたかった」 感想

          1月2日、池袋のジュンク堂。金色に光る一冊の本に私は呼ばれた。タイトルにほんの数秒の冲融たる違和感。一寸の迷いもなくレジへ急ぐ。笑顔を作る暇もない疲労に満ちた店員を横目に、隣のスターバックスへ。本と過ごす時間には、ホットコーヒー。頭上でたなびくジャズピアノが心地よい。これが私にとって最高の読書スタイルである。 この本は、谷川俊太郎をはじめとする”ことば使い”たちによる連詩を収録したものである。「はじめに」という章にある谷川俊太郎氏の文章。 『言葉になった詩(ポエム)と言葉

          谷川俊太郎、岡野大嗣、木下龍也      「今日は誰にも愛されたかった」 感想