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摂食障害と優しさと罪悪感

バイトを早退した。下剤の副作用だと思うが、吐き気と腹痛が続き、みんなが暑いと言いながら歩き回るのを横目に、私1人寒さで鳥肌が止まらなかった。

今までに何度も下剤を服用してきた。今はかなり使用回数も減ってきた。副作用についてもわかっていたつもりだった。腹痛に何時間か耐えれば終わると思っていたが、今日はなにか違っていた。

お腹痛い〜とふざけて先輩に言った。先輩たちは大丈夫?と私に聞きながらも仕事に集中していた。

そもそも自業自得。下剤を飲んだのが悪いとわかっていながらも、帰りたい気持ちに拍車がかかっていた。

社員に「今日元気ないね」と言われたその刹那、自分の目に涙が溜まったのがわかった。


腹痛、吐き気、悪寒が嫌で目に涙を溜めたわけではない。下剤を何度も服用してしまう自分に嫌気がさしていた。

早退が決まってからは早かった。従業員たちがみんないつもより優しく思えて気持ち悪かった。なんで私が悪いのに私が優しくされているんだろうと不思議だった。優しさが辛くて悲しくて、同じ苗字(たまたま)の主婦の人に車で家まで送ってもらっている間、涙を堪えるのに必死だった。

優しくされると、自分にそんな価値はないとはっきり思う。優しくされるのを拒んでしまう。その人たちの優しさが、もはや怖くて、痛い。


これだから人間と関わるのは嫌なんだと、そう思いながら布団に飛び込んで、腹を抱えながら眠った。今の職場も、居心地の悪いものになってしまう。どうしよう。これ以上優しくされることに怯えている。


人の善意に触れるとき、この人は自分に余裕も自信もあるんだなと思ってしまうことがある。羨ましいよりも眩しい。その眩しさに目をやられて、早く暗い場所に行きたくなる。

他人に優しくできる人を見ていると、生きてる世界、違うよなと思う。そしてもっともっと暗くて湿った場所で、1人で生きていきたいと思う。


摂食障害と戦う人たちのことを、私は立派だと思う。私はもうすでに、治せやしないかもなと思っているからだ。

「下剤なくなりそうだ、買ってこなくちゃ」

こんなことを今、考えている。

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