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スケジュールと予算と価値観

これらが全て合う友達なんていない、だから私は一人旅が好き。アメトークの一人旅芸人で、眞鍋かをりさんがこうおっしゃっていた。この言葉に当時のわたしはひどく共感して、だから私は一人旅が好きなのか、いや、一人で旅をするしかないのか。わかる、わかる!と思っていた。


スケジュールと予算と価値観、これらが合わなければ、誰かと旅行をするのは確かに難しい。

久しぶりに人と旅行をしたのだが、お互いなんとか休みを取ってスケジュールを合わせた。予算は二人ともお金遣いが荒いのでなんとなく合ったからオーケー。そして休みくらい温泉でゆっくりしたいという価値観が一致し、この旅行は実現された。だが、この3つをクリアするだけで、楽しい旅行ができるというわけではない。


価値観にもいろいろある


価値観とひとくくりにしたが、旅行中はお互いの様々な価値観が頻繁にぶつかってしまう。これが、誰かと旅行するということの楽しみでもあり、面倒くさいところでもある。だから私はつい、大好きな旅行のときくらいは人とぶつかるのを避けたくて、一人旅という形を選んでしまうのだ。


せっかくの旅行なのだから事前に調べたその土地のものを食べたい人と、ふらっと見つけた良さそうなお店で好きなものを食べたい人。

移動は時間がかかってもいいから交通費を抑えたい人と、いくらかかってもいいから早くて楽な方がいい人。

宿は寝るだけだと思う人と、宿に一番お金をかけたい人。

疲れたら無理をせず予定を変更して休憩する人と、旅行中だから無理してでも予定を詰め込む人。そもそも計画なんてしたくない、気ままな旅が好きな人と、少ない日数を充実させるためにスケジューリングは欠かさない人。

目的地に到着するために時間をきっちり守る人と、間に合えば行くし、間に合わなければ諦めてその状況を楽しめる人。

経験を大切にする人と、写真やお土産など形に残る思い出をつくりたい人。

日常に寄り添う旅がしたい人と、刺激的で非日常を体験したい人。



目の前に、どっぷりと浸かりたいその"土地"があるのに、こういったささいな価値観のぶつかり合いで、楽しめないのは時間もお金も無駄になるしもったいない。そう思っていた。


そんな価値観を変えてくれた一言


この旅行でも、価値観のぶつかり合いはあった。九州なんて近いもんじゃないし、次行けるのはいつになるかわからない。だけど、行きたかったセレクトショップには行けなかったし、寄ってみたい喫茶店も、寄りたいって言えなかった。真面目な話がしたかったけど、ゲームに夢中で切り出せなかった。イライラが顔に出て、嫌な思いもさせてしまったし、一人の方が、楽しみたかったことを全部やり切れたかもしれないとも思う。


でも帰りの電車を降りて別れる前にこう言われた。

「お互いの嫌なところ面倒くさいところ、分かってよかったね。」


思わずハイタッチ。そうやね、ありがとね、と返した。嫌いになるんじゃなくて、こいつこんなとこ面倒くさいな、やだな、でも、知らなかったな。知れてよかった。そんな風に想ってくれていたし、思えたのだ。


誰かと旅行することは、相手のことをよく知る機会なのだと思う。寝起きから、寝付くまで様々な表情がある。旅行だからといって楽しいことばかりではない。その人の知らなかった一面を知ることで、嫌な気持ちになるかもしれない。でも、嫌にはなっても嫌いにはならない。その人のことをより深く知れたことが嬉しいし、一緒に共有した時間は尊い。楽しい時間は共有することでより良い時間となり、一人では感じられない充足感がある。

みんな普通に、こんな風に思っているんだろうな。だから誰かと一緒の旅行は楽しいし、世の中的には誰かと行くのが当たり前なんだろうな。一人旅が当たり前になってて、そんなところ鈍くなっちゃってたか。


そういえば、大学時代の恩師が、こう話していた。結婚する前にできれば1週間以上旅行をした方がいいよ。絶対に旅行はした方がいい。そしたら、この人と結婚するの無理〜!って人は、わかるから。

なるほど、今ならよくわかる。嫌なとこ面倒くさいところ、知らなかった一面を知ってもなお、この人といたいと思えるかだ。相変わらず一人旅も好きだけれど、誰かと旅行するのもいいもんだなぁ。そう思えた二日間だった。


読んで下さってありがとうございます!

可菜

#エッセイ #日記 #紀行文 #旅行 #一人旅

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