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彼女とラインとクリスマス。


毎年、クリスマスが近づくと、思い出す女の子がいる。

特別仲が良かったわけでもないのだけど、毎年思い出す。


キラキラしたツリーを、店頭に並ぶクリスマス仕様のアイテムを、

それはそれは宝物かのように眺めていた女の子のこと。


彼女に出会ったのは、私が専門学生の頃で、お互いに19歳だった。

時々ランチをしたり、買い物をしたり、それなりに仲は良かったと思うが、

先述したように特別仲が良く、お互いのことをよく知っているとは言えなかった、

むしろ知らないことの方が多かったと思う。

そしてその子とはもう会っていない。もう会わないのではないかと思う。

連絡先は知っているけれど、何となく、もう会わないような気がしている。


「私、自分の誕生日よりもクリスマスが好きなの、許される気がして」

同じようにプレゼントをもらえて、普段とは違うご飯を食べるのに、

クリスマスと誕生日では、彼女の中で違いすぎたのだと思う。

誕生日は、自分が生まれた日なのに、許されている気がしない、

むしろ誕生日のお祝いは、あまり得意じゃない、と。

「まやは?クリスマス、好き?」

私は何て答えたのか覚えていない。でも、多分、好きだとは言っていない。

私は、彼女と違って、クリスマスの方が苦手だから。


二人でイルミネーションを見ながら、彼女がしてくれた、そんな話を、

私は一人で見ながら、目に入るたびに、この季節になるたびに、

毎年思い出してしまう。

今年も、連絡はしないのに、会おうともしないのに、

また彼女を思い出している。



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