ハイブランドの価値と若者の価値観。〜「ハイブランドを持つ若者」「トレンドになるハイブランド」について考える。〜

、はじめに

先日こんなツイートしたら予想以上に反応があったので書こうと思い立ったわけだけど、個人見解であることをご了承いただきたい。

そしてめちゃくちゃ長い。

前職がハイブランドに携わっていたこともあって街中を歩く人たちの手元や足元のハイブランドには敏感な方だと思う。

ここでいうハイブランドは、いわゆるルイヴィトンとかPRADAとかブランドやファッションに詳しくない人でも知っているであろうもののこととご理解いただければ。

(そして個人見解でもあることをご了承ください。2回目)

最近のトレンド・変化を見せる”ハイブランド”の立ち位置

ここ数年、トレンドを追うのと同時に、ハイブランドの改変や改革も多く、
かなり大きく変化したハイブランドの立ち位置を感じている。

最近、街中でハイブランドを見かけることが多くなった。
それも10代20代のいわゆる「若い子」たちに。

それはべつに悪いことではないのだけど
あまりにもみんなが持っているので、気になってしまう。

簡潔にいうと、若者の価値観と
ハイブランド側の戦略でここまで広がったと言える。

インスタのティーンをターゲットとしたトレンドメディアでもハイブランドを取り上げているものも多い。

憧れ、ではなく
身近、になったハイブランドの変化と
トレンドになったハイブランドについて。

街を歩けば、5人に1人はすれ違う、
クロエのキャンバストート。

渋谷では3人に1人が、持っている
CELINEのスクエアショルダーバッグ。

SNSでも賛否両論繰り広げている、
レディーディオールも表参道や新宿に山ほどいる。

数十万もするバッグ
数万円のアクセサリー
そのお金はどこから?なんて邪推はSNSを筆頭に駆け巡るが、26の私からみても圧倒的若さの子達が持っていたりする。

ある程度自分で稼ぐようになったり社会に出ると、
あまりにもブランド物を持っている人の数に大人ですら驚くというのに。

正直、いまの中高生でも、ヴィトンでもエルメスでも持っている子は持っている。(もちろんどの時代も)

お金があるところにはあると言われるのと同じく持っている子は持っているのだ。

ハイブランドと若者の距離感については、以前、ファッション協会が運営する「StyleArena」というメディアで寄稿させてもらったのだけど
今回は、そこから抜粋も込めて書いていく。

(もしよかったら読んでね)



火付け役、miumiu・Tiffany・GUCCI、

時代に乗るCELINE・Chloe、インスタグラムのハイブランドTOP5



中でも、わかりやすく若者たちに広がったのはTiffanyとmiumiu。


若者に多大な人気をもたらした、miumiuのラブレターシリーズ・GUCCIのチェリーシリーズは記憶に新しい。
miumiu・Tiffany・CELINE・Chloe・GUCCIの5つのブランドは、インスタでもかなりの確率で見かけるようになった。

Miumiu・GUCCIは、デザインがかなり若者向けに変化した。
「大人のもつ少し渋いイメージ」のあったGUCCIはこの改革に成功したといっては過言ではない。


様々な要因はあるが、
中でもやはりインスタグラマーの影響は大きい。
今や憧れ対象が雑誌やTVではなくなったからこそ、
「持ち物」「食べ物」何においても真似がしやすくなった。

価格帯が優しいわけではないし、真似しやすくもないだろうと思う人も多いが
若者からしたら「そこが全てのトレンドの根原」でもある。

PRや提供などではなく、だんだんとはやっていったものも多く、
「あの人も持っていたし」が効果的。

そこにさらにインスタコンテンツとして、ハイブランドの特集が組まれたりする。

コロナで家を出れなくなったここ1〜2年、インスタは「欲しいものだけ見れるカタログ化」している。
ハイブランドの中でも「ブルー系」「ピンク系」などに分けて
カタログのように写真・価格・ポイントが書かれている。

自分の欲しいもの、気になるもの可愛いものだけを、集めてくれているのだからハイブランドに目が向いても、自然だと思う。


今までハイブランドに“お金を使ってこなかった”若者たちが
“お金を使いたくなる”

デザインやアイテムが展開された。

時代に乗るCELINE・Chloeと記したけれど
これは、なにもおこぼれに預かった、とかではなく
近年のブームにのっとって、展開が増えたり、
デザインが増えたりしたことを言いたい。
中でもChloeは、サンダル・ブーツ・キャンバストートが、
「いいものを長く持ちたい」と思想の変化した
若者たちの心を掴んだ。

(Tiffanyについてはこちらも、寄稿しているので是非読んでほしい。)


ハイブランドの価値は下がったのか。

下がっていない。

ただし、ターゲットプロモーションは、格段に増え、それらは成功と言ってもいいと個人的には思っている。

・アーティスト起用
・CM
・ショーや展示などのSNSでの共有
・インスタグラマーたちの招待…

言い方を変えれば「ハイブランド、こわくないよ〜!!」というのが伝わった結果である。

溢れる服、プチプラの店、「服はGUでいい」



いいもの長くの風潮も、もちろん多くの若者に広がりつつある。
ワンシーズンで捨てる、使えなくなるというのも、少なくないけれど
バッグや靴など、「いいものを長く・いいもの一点主義」が
インスタグラマーを中心に広がっている。
コロナでお金の使い方を見直したこともあり、
一気に加速。
「安物買いの銭失い」を回避する流れも
かなりでてきた。

逆に言えば「服はGUでいい」のである。

服はいくらでも安く買える。
GUやGRLなど、「1万円でシーズンを越せる」コーデも
インスタなどで出回っているほど。

プチプラの服でも、バッグを一点ハイブランドにすることで
高見えする・持っていると背筋が伸びる
そんな若者たちの向上心も煽っていると言われている。
(これは個人差)

開かれた入り口①デザインの変化




すでに序盤で記したように、デザイナー変化はかなり大きな変革だった。
行動を起こすのが早かったのは「ルイ・ヴィトン」
誰もが知るブランドなだけに、かなりリスキーな賭け。

しかし、交代した彼の現代のトレンドに合わせた変化への敏感さは、
若者たちの感性と似ていたこともあり、
ブラウン・ブラック基調のルイヴィトンに様々な
カラーと種類をもたらし、注目を集め、広がった。

開かれた入り口②”ティーン”に人気な雑誌・モデル・プロモーション

某社をはじめとする中古ブランド取扱店がプロモーションに使ったモデルもティーンから絶大な人気を得ている。



・ハイブランドのレンタルサービス

・中古ブランド取扱店の認知と広がり


当たり前のように、若い子たちが知っているモデルなどを起用することで、
そもそもハイブランドへの興味関心が向く。


それは、「今まで興味がなかった」「今まで買えなかった」人たちにも。

「試す機会」が増えたことにつながっている。


例えばレンタルなら、「買う前に試してよければ買う」ができる。



中古品はお試しはできずとも、買うまでのステップは格段に低い。

定価30万のものが3万程度で手に入る。

「買ってみようかな」と思える価格でもある。

中古とヴィンテージの関係性

ハイブランドが広がった背景に、中古とヴィンテージの関係も関わっていると個人的には思う。

・中古品
と聞くとあまりいいイメージがないのに、
・ヴィンテージ
と聞くと途端にいいものに聞こえる。
それは使われ経過した年月が価値あるものだと認識されるからなのだが、これがハイブランドの特徴だったりもする。

そもそもヴィンテージは
古くて価値が高い年代物のアイテムという
意味なので実質的にももちろん意味が違うのだけど。

ハイブランドのバッグやアクセサリーは
古着屋に行けば「ヴィンテージアクセサリー」と
表記されていることが多い。

中古品
だと、なんとなく気がひけるけれど、
(怨念ありそうとか、お金に困って売ったんか?とかね)
ヴィンテージ
だと、「年代物」が効力を発揮する。

古着やヴィンテージに対して、抵抗がない(むしろファッションの一部)若者たちは、そこからハイブランドを身につけて行く傾向がある。

アウトレットでもない、中古品でもない「オフプライスストア」




つい最近表参道にできた、『オフプライスストア(POPUP)』には、

ハイブランドがかなり安く並んでいて、「ちょっとしたバッグが欲しい」時にサクッと買うものかのように置かれていたりする。

誰もが知るような海外のラグジュアリーブランドを豊富に取り揃え、メーカー希望小売価格の最大91%OFFと、びっくりする価格提示だ。

(わかりやすい解説はこちらにまとまってたので)

おわりに

なんとなく、「ハイブランドの価値が下がってきた」感覚に陥る人はかなり多くて、
それはおそらく、前に比べてハイブランドの入り口が大きくなったせいでもあると思う。

憧れ、焦がれた狭き門は、
様々な時代背景とともに
フレンドリーに開かれた。

少子高齢化などのことは差し置いても
「ハイブランドを知ってもらう」機会が増え、
若者の憧れは、TVや雑誌ではなく
インスタの中の会える知れるインスタグラマーや一般人になった。

全てのものが身近になった結果、
ハイブランドも身近になった。

というだけなのではないかなと思う。
別にそこにはいいも悪いもない。

もちろん、高いんですけどね。



■引用まとめ
𝐋𝐀𝐑𝐌𝐄 / ラルム
https://www.instagram.com/larmemagazine/?hl=ja

StyleArena
https://www.style-arena.jp/

FASHIONSNAP.COM
https://www.fashionsnap.com/



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