20代のころ好きだったKくん⑨~最後の最後でぶち壊し編~
少し間が空きましたが、20代のころ片思いしていた頃の思い出を最後まで書きたいな、と思って続きを書き始めました。
20代半ばの9月末、異動が決まった私は、あいさつ周りを終えて一息ついていた。後任と引継ぎする予定だったのが、後任が来られなくなってしまってお昼過ぎから予定がぽっかりあいてしまった。暇を持て余して取引先の総菜屋さんでお昼を買いに行こうとお店に向かうと、女性の先輩と、Kくんが同じタイミングで駐車場に集結していた。
「えーヤンマーさんとKくん何やってるのー?!」
「私お昼買おうと思って…」
「いやー僕は暇を持て余して取引先徘徊してたんですw」
おっと!この偶然、もしかして3人でランチできるのでは…?と期待に胸を膨らます自分。
「そーなんだ!ごめーんヤンマー、時間あればランチしたかったけど私またすぐ会社もどんなきゃだから!またね!」
そういって各々車に乗り込んだ。しばらくして、私は思いついた。
もしかして、Kくん暇だから今ならご飯誘えるんじゃね?
思いついてから私の決断は早かった。すぐにKくんの携帯に電話をかけた。
「Kくんまだ近くにいる?」
「はい。14時まではやることないんで取引先まわろうかと思って。」
「もし時間あるならご飯食べない?」
「いいっすよ!」
あっさりOKがでた。彼がここ行きましょうといってくれたお店に集合したらまさかの定休日で、隣にあった某ファーストフード屋さんに二人で入る。
「ごめんね、大丈夫だった?」
「いやー無駄に徘徊してたんで全然大丈夫ですよ。」
「なんかさー、みんなが忙しくしてるのに私だけ蚊帳の外で寂しくなっちゃってw」
注文を一緒にすると、彼が財布を出そうとしたので遮ってレジでお金を出した。
「今日は私におごらせて!」
「いや、でも今までお世話になったお礼が…」
「いいのいいの!今日はおごらせて!餞別ってことで!」
「すみません!ごちそうさまです!」
二人で向き合ってハンバーガーもしゃもしゃ食べながら今までの思い出を振り返る。散々やった支店の飲み会や、地域のお祭りに参加したこと、社員旅行のこと…。そして今週末は私の送別会をやる予定になっていた。
「ヤンマーさんとご飯食べられるの金曜日で最後なんだー。」
「ねーさみしいね。4年半もいたんだよ?」
そんな風に寂しがってくれて、嘘でも、お世辞でも嬉しかった。
それから社内で色んな男性と関係を持っている美人な先輩女性の話になって、私が「Kくんだって〇〇さんにお持ち帰りされちゃうかもよー。」と冗談を言ったら「いや、自分それはないんで!」ってはっきり言ってたのでちょっと嬉しくなったり。
名残惜しかったけど、彼の予定もあるし、時間は無限ではないので店を出ることにした。
1時間にも満たない時間だったけど、私は勇気を出した自分を褒めてあげたかった。
その日、帰りに先輩女性から「お昼付き合えなくてごめんね!夜食べに行こうよ!」というナイス声掛けでKくんふくめ若手社員のみんなでご飯を食べに行くことに。Kくんとは昼も夜もご飯たべることになってしまった。
その集まりでは普通にみんなで仕事の話をして、解散。
なんだか、その一日で私の心はすごく満たされた。
最後にKくんと二人の時間がもててよかった。
本当に、よかった。
それだけで私は神様に感謝です。
神様本当にありがとう。
帰りに勇気出してLINEもしてみた。
「今日でクールビズ終わりだからね!ネクタイ忘れちゃだめだよ!」
今思えば全然かわいくないLINEだなぁ。彼からの返信も「ありがとうございます!明日ばっちりネクタイしてきます!」って内容だったかな。その返信だけで、心は踊った。
次の日からは後任が来て引継ぎが本格的にスタートした。
忙しい中Kくんは話しかけてくれた。
「ヤンマーさん、これってどこにおいとけばいいですか?」
「あー、それはここに置いておけば大丈夫。」
「じゃあもしだめだったらヤンマーさんのせいにしていいですか?w」
「なんでだよ!しらないよ私はw」
いつも通りのふざけあい。ありがとうKくん、最後まで私に話しかけてくれて。本当に優しい子。
後任の子からいろいろ話をきいたら、Kくん同じ大学だった後輩から
「Kさんってちょっとおとなしくてシャイな感じです」って言われてたらしく、ちょっとやだーKくん♡って思いました。
シャイなくせに、人見知りなくせに、私にはあんなに気さくに話してくれて。先輩としてはなめられてるのかもしれないけど、他の人とは違うっていう態度、それだけでうれしい。それだけ打ち解けてくれたってことなのかな?
そして、あっという間に勤務最終日を迎え、最後にK君が私に花束を渡してくれました。
「今までお世話になりました!」
Kくんの私に向けてくれるまぶしい笑顔、これで見納めかな、と少ししんみり。
自分の席に戻って片付けをしていると、上司♂が「いやーKくんそのまま熱い抱擁でもするかと思ったのに」って茶々を入れてきて。抱擁してくれてもよかったけどね。「みんなの前ではしませんよー」ってKくんも大人の受け答えで。
そのあと送別会にいくのに、Kくんが仕事の関係で遅れてくるといって、そしたら先輩女性が「ちょっと!ヤンマーさん最後なんだから絶対間に合わせてよ!」と言ってくれて。「はい、たぶん大丈夫だと思います。」と返事をしてくれたので、私もふざけて「Kくん、私のために頑張って!」と言ってみた。
「いやーそれだとちょっとwww」
「ひどいwww」
ノリにまかせてKくんの体触っちゃったりして。
「よーし!ヤンマーさんのために頑張るぞー!」
完全にふざけてたけど、冗談でも嬉しかった。
送別会ではちょっと遅れてきたけど無事にKくんが来てくれました。
小一時間の間に散々飲まされた私はもうひどくて、私は酔いにまかせて彼の携帯をうばって今日来られなかった上司♂に電話したり、Kくんのネクタイ外そうとしたり、腕時計ぱくったり、手をつないだり、ひどいありさまだったようです。今まで我慢してた欲望を爆発させてしまったらしくずっとKくんにべたべたしてたそうです。
そのあともどうやら彼に家まで送らせたようで。
翌朝LINEしても、返信なし。
全く記憶のなかった私は次の週末に女性の先輩たちと飲みに行った時に送別会での私の愚行を聞いて顔面蒼白。
しかし、このままで終わらせるにはあまりにも悲しすぎると思って、その飲み会の帰りにKくんに勢いで電話してみた。
そしたら出ません。
電話に出てくださいってLINEしたら
「あと5分で家に着くので待ってください」と。
そのまま待ってたら電話を返してくれました。
「なんすかww」
「もうKくん私だめだー。本当にごめーん。」
「そうすか」
「ねーKくんこんな時間まで何してんのー??」
「遊んでたんすよ」
なんかめっちゃ面倒臭そうな感じ。
「ねー面倒臭いっておもってるでしょ」
「思ってませんよ・・・。」
「うそつきー」
「ヤンマーさんにはお世話になりましたから・・。」
「あれー?私なんでKくんに電話したんだっけ?」
「知りませんよ・・・。」
「ごめんねこんなめんどくさくて」
「ヤンマーさん、俺眠いっす・・・。」
「ねーねー私Kくんに言いたいことあるんだけどー」
「なんですかw」
「なんかさーやっぱKくんいいやつだったなーって思って・・・。むかつくこともあったけどさ・・・。アイス買ってくれるし・・・。」
「ありがとうございます。じゃあおやすみなさい。」
「やだーきらないでー。私Kくんのことお気に入りだからさー」
「そうすか。」
「ごめん、こんな時間まで。じゃあねー。頑張ってね」
そんなこんなで電話を終わりにしました。
きっとあきれられたよね。
嫌いになったよね。
面倒臭いと思ったよね。
これでもう私の恋は終わったんだなって思った。
夢みたいな時間だった。
少しでもときめきを思い出せてよかった。
大好きだった。
毎日が楽しかった。
報われなくても、意味がなくても、虚しくても。
大好きだった。
Kくんと一緒にいたかった。
Kくんともっと話したかった。
でも、もうそれもできない。
Kくんのことを振り返って、当時の日記を見返したら急に鮮明に思い出してきて。ふと思い出すときはいいことばかりが思い浮かぶけど、最後は自分自身でぶち壊してたんだなーって。
もし、飲み会で泥酔しないでゆっくり話をしていたら、帰り送ってもらってそのときにちゃんと真剣に気持ちを伝えていたら、お酒が入っていない状態で電話をしていれば…。
今思えば、私は彼に真剣に向き合うのが怖くて、お酒の力を借りてしまった。もし、自分がKくんの立場だったら、酔っぱらってベタベタされたり、そんなんで君に事気に入ってたよーなんて言われても全然嬉しくない。私は、なんてひどいことをしてしまったんだろう。
彼に恋愛感情がなかったとしても、彼は私が落ち込んでた時に励ましてくれたし、心配してくれた。私もそれに感謝してたし、救われたって思ってたのに。それを素直に伝えられなかったことを、今になって後悔してる。
こうして、Kくんとの日々は終わりをつげます。もうこの時点で完全に脈はなくなっているのですが、また彼に会う機会が訪れるのです。次回でKくんの話はおわりになります。