YANKAのコンセプトとデザイナーズ•ストーリー
Avant-Garde Fusion
YANKAのアヴァンギャルド・フュージョンとは、アンダーグラウンド、クラブVJ、コンピューターグラフィックス、抽象画など、デザイナーの久保田啓敬が取り組んできた様々な要素を組み合わせて生み出されたデザインコンセプト。
デザイナーズ•ストーリー
1995年
中学2年時、作成のマグカップ。左下の「特別チャンネル”ウニ”」は同級生の坊主頭がウニみたいだったことに由来する。
1998年
高校2年時に描いた唯一残っている抽象画。
1999年
大阪のコンピューターの専門学校でグラフィックデザインを作り始めた直後、それをアニメーションさせて動画を作り、VJ SARA CHOP OMRICE(皿チョップオムライス)として大阪のクラブで活動を開始する。
名前の由来は、専門学校の休憩室に自分と相方ともう1人友人がおり、好きな物をそれぞれあげて、それを誕生日の月順に並べて決めたもの。「○○○グラフィックみたいなかっこいい系の名前って逆にダサない?」という謎の若者の主張で方針を決定。
当時は3Dで映像作ることがメイン。anti-light-wave@〜(アンチ•ライトウェーブ)とmaxuse@〜(マックスユーズ=3ds max)という、3Dソフトユーザーにはわかりやすい二つのメアドを保持する。
2000年
大阪のアメ村の同じビル内にあったクラブ・グロスとオゾンでのイベント終了時。このパーティーで色んなDJとつながり、VJのお誘いを受けるようになる。右端の黒い服が自分。当時の相方(上段左から4番目)と共にこんな格好をしていたため、トランスやテクノのパーティーで「どうしてB-boyが来てるの?」と言われ戸惑う。
当初使っていたフリーのVJソフトTZT。キーボードを押すだけで18個の映像から次の映像を選べ、探して入れ替える手間が省略できたため重宝する。動画サイズは320×240ピクセル時代!
2001年
大阪の東心斎橋にできたディスコdoor loungeで半年間VJと映像制作、フライヤーなどを担当。70〜90年代のダンクラが好きになる。
door loungeでは2スクリーンに2つのプロジェクターで1つの映像を流すことによって没入感が高まる。そしてクラブにはないチークタイムにお客さんと踊るスタッフを見て、軽いカルチャーショックを受ける。
door lounge時代に作ったフライヤー。際限なく仕事を受けていたため他の製作物とも重なり、夜中1時から朝5時までにフライヤーを6枚制作しなければならないカオスに陥る。
2002年
大阪の人気クラブだったUnder Lounge(アンダーラウンジ)。主にトランス、UKハードハウス、テクノのパーティーでVJ。外タレとの共演も多く、海外進出欲が芽生える。が、そのマネージャーに「あなたの映像の英語間違ってるわよ」と指摘され、洗礼を受ける。
アンダーのVJブース。テレビ、モニター5台、ビデオデッキ、そしてV5(VJミキサー)常設。楽!
大量のビデオテープに映像をダビングしてクラブへ持っていく。画像で確認できるビデオのタイトルは、
・よっ?!おひさ
・レモネードアタック
・大阪バンバンバン
・だっ★エロビ❤︎
・またコーデック
・美の集大成
・ちょうちょ
・金魚
このような自宅の制作環境で映像やデザインを作り、クラブへ持っていく。ディスプレーの後ろの壁に、ふざけて描いた当時の彼女の似顔を貼る。それを見た本人が激怒。この数年後に行ったロンドンでも、イタリア人女性で英語教師の似顔絵をふざけて描いて激怒される。女性を描く時はセーラームーンを描くつもりで挑むことを決意する。
2002年に作成した皿チョップのプロモーション映像。これのおかげで仕事が増えたような。
2003年
この頃、VJの機材もポータブルDVD4台、V4(VJミキサー)へアップグレード。画質のクオリティも動画の滑らかさも段違いに上がる。
各パーティーでの皿チョップのVJをまとめた動画。
2004年
アンダーラウンジでのレギュラーパーティX-FORCEの模様。右端が私。
たまに遊びでDJをやるが、ハマるまでには至らず。
2004年には、イギリスのビデオレーベルlightrhythm visualsより世界中のVJが参加したコンピレーションDVD"hidden partition"へ作品を提供。
2005年
サイケデリックトランスのレーベルVision Quest主宰によるDVD第4弾『The Gathering』へ2作品を映像提供。こちらは冬の寒いある日、自宅のこたつの上にポータブルDVD4台とVJミキサーV4とみかんをセッティングし、もう1人別のVJの映像をライブミックスしながら、それをPCに取り込む荒技で作成。
VJ SARA CHOP OMRICE with Friend / Alternative Control - Alt + Ctrl
VJ SARA CHOP OMRICE with Friend / SUN Project - What Comes Next
2006年
2005-06年のカウントダウンパーティーを持って、7年ほど続けたVJ活動を終了。完全燃焼。
結成当初は変な名前と言われていたSARA CHOP OMRICEも、最後には「かわいい名前」「覚えやすい」と言われるようになり、「さら」「皿チョップ」「おむちゃん」「さらひろ」など関係者が色々な呼び方で呼んでくれるようになる。始めは変に感じても、見慣れてくると親しみを覚えてなんでもよく思えてくるものだと学ぶ。ただ仲良くなってよく遊ぶようになったDJの彼女からは、嫉妬も込めてバカチョップと呼ばれる。
その後1年間ロンドンへ移住し、音楽製作に打ち込む。
しかし、この年の夏ごろより閉塞感を感じ始め、ここまで右肩上がりだった人生に停滞感が漂う。そのまま12月に入り、年末にかけて崖を真っ逆さまに転がり落ちるように気分が沈んでいく。そして年末日本へ帰国すると、理由もなく絶望し、景色がすべて灰色に見える。翌日朝起きると、なんの思考も起こらず、ただ絶望感だけを感じる。ここから13年間それが続く。一生治らないのではないかという胸に空いた大きな穴に苦しみ、生きる気力0.01で推移するが、なんとかこの世を去ることだけは免れる。
2007年
帰国後、Zepp大阪で行われたCLUB RAPTURE1 で一度だけVJ復帰する。
その半年後、色々あり大阪の谷町で映像とウェブの事業を開始する。が、立ち上げた直後、すでに映像への情熱がないことを認識し、初日から超低空飛行を続け、2年ほどして静かに終了する。
2008年〜2014年
鬱々とした生活のなか音楽を作る一方で、そのヴィジュアルイメージにと思い、10代の頃に描いていた抽象画を思い出し、A4に描き始める。いくつか描いているうちに、手が勝手に動くように描かれていき、完成した絵からは動物や風景など、なにかしらが見えてくることに気づき、そのまま何百枚も描き続ける。
始めは鉛筆だけで描いていたものに色をつけ始める。
クレヨンも使い、ただひたすら描き続ける。
動画の制作意欲はなかったが、自分の楽曲に自分の描いた絵をアニメーションさせたらどうなるかという好奇心で作ってみる。静かに始まり、静かに終わる。
2015年〜2019年
名刺サイズにも描く。作風に少し変化が見られる。
A4を数枚重ね合わせたサイズでも描き始める。
上からテープを貼ったり、なんでも混ぜ始める。
えんぴつもボールペンもインクも墨汁も筆も、何でも混ぜ始める。
バイトやフリーランスでチラシやポスターなどを作りながら、低収入で生きながらえていた中、大きい絵を描きたいと思い段ボールに描く。この頃は各民族の古代文化にも興味を持ち始め、壁画アートなどの影響も受ける。
絵を描いても部屋が狭いので、次第に置くとこも飾るところもなくなってくる。
当時使っていたスーツケースにも描く。
パンデイロ(ブラジルの楽器)にも描く。
2020年〜2021年
描き続けることで、作風もクオリティも変化し続ける。これらもてきとうに描いていると途中から完成形のイメージが見えてきて、あとはそこに向かってまとめていくという流れ。
2019年、とりあえず宣材写真もかねて記念撮影をしておく。
そして絵だけではなくて、オブジェも作れないかと段ボールを使って制作。ただでさえ狭い部屋が余計狭くなり、壁も汚しまくる。退去時が心配になる。
身長1m30cmくらいあるロボット風味のやつ。
顔面だけの忍者風味のやつ。
絵や音楽とは別に、資本主義に変わる持続可能な社会制度プラウトヴィレッジを執筆。脱貨幣経済の必要性を説く。その出版用に表紙も制作。
2022年
手書きで描いたものをフォトショップなどでまとめ始め、より表現の幅が広がる。
VJの時と同じで、作ったデザインをただ平面として置いておくのではなく、別の要素と組み合わせて使用したいと思い始める。その一つに服や靴、バッグなどへのプリントを始める。
この画像と、
この画像が組み合わさり
こういうデザインになる。
この画像が、
こうなったり。
他にも色々グラフィックTへと広がる。
スニーカーにも。
パーカー。
バッグにも。
シンプルに部屋に飾る絵としても。
こうして10代の頃から描き始めた抽象画は、アンダーグラウンド、クラブVJ、コンピューターグラフィックス、抽象画などの要素と融合を繰り返し、アヴァンギャルドフュージョンというコンセプトのもと、YANKAとして展開する。
YANKAのブランドネームの由来は、デザイナーが大阪出身ということもあり、大阪弁の「ええやんか」「やったらええやんか」などの「やんか」が由来。
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