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【映画感想まとめ】2021年私的映画ベスト10~配信編~

虐げられた歴史への文化的報復

10位:『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』(ネットフリックス)

構成はかなりベタな西部劇。ハワード・ホークスの3部作のような。しかし、メインキャストを黒人で固め、音楽をJAY-Zが担当したことで伝統は見事に破壊された。白人主導の勧善懲悪の物語は、倫理以前に「かっこ悪い」。これは黒人による、虐げられた歴史への文化的報復である。

音楽への無邪気な好奇心が前面に押し出されている

9位:『ミックステープ 伝えられずにいたこと』(ネットフリックス)

これは『ハイ・フィデリティ』です。99年という年代からして、絶対に意識してます。違うのは、主人公をローティーンにしたことで音楽への無邪気な好奇心が前面に押し出されている点。恋愛要素を含めず、友情に絞ったのも好感が持てる。日本人として、ブルーハーツが流れたのには素直に感動。

三角関係と自己嫌悪は青春映画の燃料

8位:『透明な私の青春ダイアリー』(ネットフリックス)

まずは驚きだ。ブラジルの青春映画も、アメリカのティーンムービーや日本の少女漫画と同じ黄金律によって構成されていた。三角関係と自己嫌悪は青春映画の燃料である。ただし、語り口の軽快さは昨今のハリウッド映画よりやや上。

男女の立場が逆転したリメイク

7位:『ヒーズ・オール・ザット』(ネットフリックス)

あの名作ラブコメがリメイクされた。しかも、男女の立場が逆転して。「女性を自分好みに教育する」というプロットを逆にしたらどうなるだろう?そこから見えてくるのは、女性が今まで向けられていた「容姿と人気で評価される」恐怖と怒りである。SNSの使い方も非常に巧妙。

マッチョイズムは自分も他人も殺す

6位:『恐怖のセンセイ』(ネットフリックス)

空手道場に通い始めたさえない青年が、だんだんカルト的な男根主義にはまっていく。後半はカフカ的な不条理世界に突入。ただ、突拍子もない展開に惑わされないでほしい。本作が言っているのは「マッチョイムズは自分も他人も殺しかねないバカげた思想なのだ」という一点である。

これほど過小評価された映画は珍しい

5位:『ラブ&モンスターズ』(ネットフリックス)

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