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北陸の今に思いを馳せて

皆様こんにちは。柳井グランドホテル支配人の松前あつしです。今回は少し内容を変え、先日の震災で被害を受けた北陸地方の今についてお話しさせていただきます。

お話を始める前に、2024年1月1日に発生した大きな地震で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。自分で何度も足を運んだことのある能登地域が甚大な被害を受け、また交通網が限られるために復旧に時間を要しているという事実を伝え聞くと、美しい能登の景色や文化が1日も早く元の姿を取り戻せることを願わずにはいられません。

私が住む山口県は能登から遠く離れております。しかし私にもできることがあるならば、それを全力でやり遂げたいと思います。

震災に見舞われた和倉温泉の本来の姿。早期復興を心から願っております。
気軽に和倉温泉を楽しめる総湯。日帰りの方にオススメです。

最初にお伝えしたいのは「震災で被害を受けた能登地域はどこにあるのか知っていただきたい」ということです。ご存じの通り能登地域は石川県に属していますが、石川県は北部の能登地域と南部の加賀地域の2つに大別できます。県都である金沢市は加賀地域に属しており、特に被害の大きかった奥能登地域は金沢から100㎞以上離れています。

驚異的なスピードで復活した北陸新幹線。交通の大動脈として矜持を見せつけました。
サンダーバード号も2日には早々と復旧。道路が寸断される中で貴重な交通手段となりました。

加賀地域も被害ゼロではありませんでしたが、金沢駅を発着する北陸新幹線や北陸本線が震災翌日に運行再開していたように、能登地域と比べたらかなり軽微な被害で済みました。

つまり「能登以外は被害が少なかったから、過度に観光を敬遠しないでほしい」とお伝えしたいのです。能登の被害が取り上げられるたび、石川県、ひいては北陸全体でも大きな被害を受けているようなイメージが先行しています。また能登の交通網が壊滅して復旧に時間がかかっているため、復旧と関係のない者は近づくべきではないという状況が追い打ちをかけています。

震災直後は大きめの余震も頻発したためやむを得ない部分もありましたが、被害の少なかった加賀地域や隣県の富山・福井の観光業がコロナ禍並みの大ピンチに陥っています。しかし私は北陸地方に愛着がある者として、そして観光業に携わる者として、イメージではなく実態を見て来訪するかどうか判断してほしいと切に願っております。

兼六園の雪吊り。12月頃からこの姿が見られます。
雪で湿る石畳の小道が風情を感じる武家屋敷。冬場はワラで土塀にこも掛けを行います。
寒ブリシーズンのみ販売される駅弁「ぶりかまめし」。列車旅のお供にオススメです。

冬の北陸には何度も行きたくなる魅力的なスポットが無数にあります。グルメを楽しむなら福井県の越前ガニ氷見(ひみ)の寒ブリが真っ先に挙げられます。また名所めぐりなら、金沢の冬の風物詩として兼六園(けんろくえん)の雪吊りや、武家屋敷のこも掛けがオススメです。
※雪吊り:木の枝が雪の重みで折れないよう縄で縛る補強のこと。
※こも掛け:土塀が雪で傷まないようワラなどで塀を保護すること。

実は「加賀温泉」は周辺温泉郷4カ所の総称です。加賀温泉という温泉はありません。

また北陸といえば温泉、という方もいらっしゃるかと思います。被災してしまった和倉温泉も有名どころでしたが、芦原温泉(あわらおんせん・福井県)、加賀温泉(石川県)、宇奈月温泉(うなづきおんせん・富山県)など、他にも著名温泉地はたくさんあります。そしてこれら全てが、震災自体の被害が軽微ながら予約のキャンセルが相次いでいます。

ヘッダーでも登場した金沢の主計町(かずえまち)茶屋街。小規模ながら趣深い茶屋街です。

もちろん今後も余震の状況や復旧活動の進捗に注意を向ける必要はあり、能登以外でも来訪を控えるべき事態が来る可能性もゼロではありません。

しかし何度も申し上げた通り、北陸全体が地震で大ダメージを受けているという印象は実態と異なります。まずは北陸の地理感覚を知っていただき、できることなら北陸を過度に敬遠せず、観光を楽しんでいただければ幸甚です。

今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします!

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