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最強(たぶん) 漫画で漫画術 3

コマ割ってなんだかんだ1 絵巻でグルグル1

漫画を描く作業の中で一番面白いと思うのは、コマ割なんです。
普通は絵を描く作業かも知れないけど、ボクはコマ割。
そしてこのコマ割ってのが、難しい。どんだけやっても上手くなれない。
萩尾望都さんは「コマ割はパーソナルなものなので教えるのが難しい」というようなことを言っておられたけど、それは本当に同感。

とは言え、コレを抜きに漫画術は語れないので、チャレンジしてみましょう。

題材として「コマはないけど絵が続いてお話しになってる」というものを選びます。
実は日本ではこれが昔からあります。絵巻物がそれです。

実は絵巻物は、昔の娯楽作品なのです。世の中で起こった不思議な事件、歴史、偉人の話などが絵で描かれている巻物。10メートル越えるものもざらにあります。現代の美術館では、ざーーーっと延ばしてあるのを歩きながら見ることになるので、
「なんだかずーーーーっと絵が描かれている」
としか思えませんが…。だが絵巻物には見方があります。見方をしると突如物語が生まれてきます。

こんな感じで見るのです。
絵巻物には詞書(ことばがき)と言って場面の説明の文章があります。そこから肩幅くらいに両腕を開いた分量を開いて引き出す。その分量が大体一つの場面。見終わったら次の詞書を読んで同じくらいの分量をひきだして次の場面に写る。「鳥獣戯画」などのように詞書のない絵のみで愉しんでいくものもあります。どちらも、肩幅くらいの分量がすなわち絵のフレームになります。その長さは大体二尺(70センチ弱)。誰か一人が巻き取りながら「いま、こういうお話しだよ」って語って聞かせたのでしょう。そういう楽しみ方をしたわけですね。
絵師の方は「次のひと巻をしたらビックリする絵が出てくるぞ~」などと狙いながら描いていくわけですね。またドラマチックな展開のあと場面を展開するのに山とか町並みの風景を差し挟んだりして、鑑賞者の気分が変わるように描いてあります。このあたりは現代の漫画と通じます。

図はフランス『バイユーのタペストリー』。絵巻物って東洋がほとんどですが、西洋でもたまに似たものがあります。ノルマンディー公ウィリアム1世によるイングランド征服の刺繍画で、約70mの長さがあります。

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