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最強(たぶん) 漫画で漫画術7

構図1 視線誘導がどーたら

漫画の世界ではよく「視線誘導」って言葉が使われます。
ページのここから見始めたら次はここを見せて…というふうに
視線の流れを運ぶって言うことです。
ボクはこの言葉がどうもピンと来なくて、教える時にほとんど遣いません。というのはどうしても
「誘導して…それで?」
って思ってしまうからです。
視線の誘導ってのは結果であって、目的ではないのです。視線の誘導をしなさいと言って画面の構成の指導を終わらせる人もいるみたいですが
(というか、いた)、それはほとんど何も語っていない。
「深呼吸する時はたくさん酸素を吸いなさい」
みたいな指導に感じるのです。

視線を誘導するって言ったら、絵を描く行為そのものがそうです。
「コレを見て、かっこいいよ」
「見て。綺麗でしょう?」
と、絵を描く。視線を誘導して集めようっていう気がないとそもそも絵を描く意味もない。たまにフランシス・ベーコン(1909~1992)のように見るものを誘いながら厳しく拒絶するような画家もいますが。
視線を集めた先に何があるのかが、とても大切なんですね。

じゃあ絵を描くときにどうやってみてもらえばいいか。
そのよすがが、構図です。
構図はいろいろな画家がたくさんの経験の中から考えた方法論です。法則が先にあって絵が描かれるわけではないので、ぴったり当てはまらないときも多い。また、一枚の画面にいくつもの構図が併存することもある。いささかこじつけっぽいところもあります。
とは言え、知っておいて損なこともないでしょうから、その話を少ししますね。

トップンの画像はハンス・ホルバイン(1497/1498~1543)の『大使たち』(1533)。視線誘導のためだけの絵。しかも傑作という。

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