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キネマの神様(著者:原田マハ)

著作者名:原田マハ 発行所:株式会社文藝春秋 2013年7月20日発行

映画を愛する父と娘の物語である。父は、円山郷直(まるやまさとなお、以後ゴウと呼ぶ)79歳。娘は、円山歩(あゆみ)39歳。

歩は、国内有数の再開発企業の東京総合開発株式会社のシネマコンプレックスを中心とした文化・娯楽施設担当課長である。「開発地区に映画館を中心とした文化施設を作る」というたったひとつのアイデアを貫いた結果、昇進した。

歩には社内の風当たりがきつくなった。その原因は、社長の関心を引いたことへの嫉妬、新しいアイデアに対する拒絶感、そして社内初の女性課長への偏見などである。

イギリスの大手シネコン業者と提携合意した直後、噂が流れた。「円山歩は業者と通じていて、職権乱用で提携合意を決めた。」身に覚えがないことだったので、放置しておいた。すると、ビル管理の子会社への異動を通達され、シネコン計画からも外されてしまった。

ゴウのポリシーは、「宵越しの金は持たない」。その稼ぎのほとんどをふたつのことに費やしていた。ひとつはギャンブル。もうひとつは映画だ。ゴウは、軽度の心筋梗塞で入院し、手術を受け、成功する。ゴウが入院した日に、歩は、辞表を提出する。

ゴウは、ギャンブル依存症となり、多額の借金を背負う。たびたびのことに、歩と母親は、「多重債務者家族の相談会」に出席する。そして、決断する。借金は自分で返済させる。ギャンブルは止めさせ、映画漬けにする。ゴウは、しばらくその生活を続けるが、生きていく気力を失う。

歩は、映画雑誌の老舗「映友社」に映画ライターとして就職する。編集長は高峰好子。歩は、編集長から頼まれる。「うちの会社のブログ、近々リニューアルしようと思っているの。それを円山さんにお願いしたいのよ。ブログの運営に私の息子の興太が関わっていて、息子を助けてやってくれないかしら。」

ゴウは興太たちの依頼により、ブログを書くことになる。ブログは反響があり、英語版も作成することになる。この後、ブログをめぐって、話は大きく展開していく。映画化も決定されているこの作品、是非とも楽しんで下さい。


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