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『ぼくらは嘘でつながっている』

 嘘をついてはいけません、と教えられて育ってきましたよね。
 でも、お元気ですか?と声をかけられて、お陰様でと言うのも嘘。
 空想上の物語は嘘。会社の将来戦略も予算も嘘。
 不治の病を本人に告知しないことも嘘。
 誰もが履歴書に書いた志望動機も嘘。
 サンタクロースも、神様も、お金に値打ちがあるというのも嘘。
 事実と異なることを嘘と言うなら、私たちが事実だと思っている事柄も、実際に起きたことの中から、自分が興味があるあるいは自分に都合のいいところだけを恣意的に選び取って脳に刻み込んだ一部分に過ぎないので、私たちの頭の中にあるものは全て嘘。
と言われたら?
 読んでいるうちに、もう何が何だか分からなくなります。

 でも、私たちが心から信じたいと願う嘘は希望であり、希望を語ることで世の中は変わっていく。自分と他人を繋ぐものは嘘でしかないのだから、相手の嘘を楽しみ、自分もたっぷり嘘をつきましょう、という…
 ワケがわからなくなった先に待っているのは絶望ではなく、案外希望だったという、不思議と心が軽くなる一冊でした。

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