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保険金不払問題のリアル(その2)

(Twitterはこちら → @yanagi_092)

前回記事のとおり、保険金不払問題により、通常業務に追加で大量の書類を不払いチェック。そもそも自動車事故における示談の仕事も好きではなかったので、いよいよ嫌気が差してきます。

アクチュアリー試験を受ける

ぼく「せや、アクチュアリー試験を受けて、コーポレート部門に行くんや!」

もともと数学は好きだったので、「いけるやろ!」ってことで突撃してみることにしました。しかし、働きながらの勉強は、とにかく時間がありません。学生時代と同じノリでダラダラ勉強してしまった結果、アッサリ落ちてしまいます。

今思えば、「無理矢理でも毎日勉強時間を作る」「勉強の効率性を極限まで高めていく」という視点が欠けていたように思います。若手社員等の方で、何か資格勉強をされる方は、この2点をご参考にしていただければと思います。

合格不合格


恐怖のチェックシート地獄

保険金不払問題が勃発して以降、毎日毎日、過去の書類の不払いチェック。そして、これは目の前の保険金支払業務にも多大な影響を与えます。前回の記事で保険金支払システムが古いまま放置され続けてきたことを記載しましたが、急にシステムを変えることもできません。

金融庁さん「システム改定まで、どうやって不払いを防ぐの?」
会社「ち、、、チェックシートを使って不払いを防ぎますので!!」

金融庁怒る


この後、会社から様々なチェックシートが全社に配布されました。

会社「このチェックシートを使って、支払保険金に漏れが無いかチェックをしてください。そして、担当者&責任者でダブルチェックをした日付等の記録をチェックシートに記載して、保険金支払書類に添付することをルールにします」

ところがこのチェックシート、割と使いにくい(笑)。そして、パターンが複雑で難しい。これだけではなく、全国の各損害サービス現場においては「こうやったら使いやすいんじゃないか?独自の改良版を作ろう!」的な発想をする人が多くて、全国の各損害サービス部で亜種のチェックシートが蔓延し始めます。

こういったチェックシート的なものは全国統一で本社が旗を振れば良いと思うのですが、全国各地で亜種が生まれるのは何なのでしょうか。率直に疑問なのですが、これは東京海上における独自の文化なのでしょうか。各現場でチェックシートの亜種を生み出して、非効率だなぁと感じていました。

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お客様は誰?

交通事故は様々なパターンがあるのですが、例えばお客様が車で人を跳ねてしまったとします。

事故形態

この場合は、被害者のケガの対応&示談をする必要があるのですが、このようなケガの対応は、第二の職場として入社される特定社員の方が対応します。(自衛隊OBの方が多く、概ね50歳以上くらいの方)

彼らは、定期的に被害者とコミュニケーションを取って人間関係を形成し、最終的には賠償金を提示のうえで示談締結をします。彼らの仕事は「担当事案を1日でも早く示談すること」です。

したがって、担当事案に関係の無いことには興味を持っていませんでした。たまに、事故の加害者であるお客様から状況の問い合わせが来ると「えぇ、被害者は通院中ですよ。示談できたら連絡しますから!(電話ガチャ切りぃ)」といった始末です。

示談終われば

もちろん、このような人ばかりではありませんが、少なくとも「お客様も心配だろうから、現状を報告しておこう」と考える特定社員は皆無で、お客様は置き去りでした。

したがって、「商品が複雑になっていくなかで、保険金支払システムのインフラ投資がなされなかったこと」だけが保険金不払の原因ではでなく、「損害保険会社のお客様に対する姿勢が希薄であったこと」も、保険金不払問題の一因だったのではないかと考えられます。

なお、金融庁さんもこういった損害保険会社の顧客姿勢を問題視していましたので、現在の損害保険各社は、お客様へ経過報告をするための仕組み(システム改定等)を構築しており、当時と比べて状況は改善しています。

とはいえ、これらの一連の問題は、「金融庁さんのお叱り(もしくは『叱られそう』という空気感)」が改善の契機になっていることも事実であり、損害保険会社に限った話ではありませんが、「金融庁さんが一番大事なお客様である」という体質から抜け出せていないのかもしれません。

実際、金融庁検査のことを「お客様がいらっしゃっている」「お客様の対応中」等の隠語で語る業界ですから・・・

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そして転職活動へ

「ずっと示談の仕事続けるの無理なんですけど・・・」「アクチュアリー試験、全然無理そう・・・」「保険金不払問題が終わりそうにない・・・」という3重苦もあって、転職活動を開始します。

ぼく「第二新卒かぁ、、、なにそれ?」

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(続く)

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