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【ネタバレ!】映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

えー、ネタバレしてますので、この映画をまだ見ていなくて、内容知りたくない方は、読まないでくださいね。お願いします。

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「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

志乃を演じる南沙良さん、加代を演じる蒔田彩珠さん。
二人の若手俳優の真っ直ぐな存在感が愛おしいです。
特に南さんは涙も鼻水もむき出しの演技です。
蒔田さんの猛練習したギターにも役者魂を感じます。


人前だと上手く話せず、自分の名前さえ言えない志乃。
ミュージシャンを夢見るが、絶望的に歌が下手な加代。
そんな二人が出会い、傷ついたり傷つけたりしながら必死でもがく。

序盤、自分の歌を笑った志乃に怒りをぶつける加代。
自分を普通の人として扱ってくれた加代を守ろうとし、泣きじゃくりながら謝る志乃。
志乃の澄み切った歌声の「翼をください」に心を奪われる加代。
そしてバンドを組み始める二人。

…このあたりの流れがグッときますね。
しかし、青春はそんなに甘くない。

劇中で「しのかよ」は「あの素晴らしい愛をもう一度」をよく歌うのですが、いつか志乃がもう一度その歌を口ずさむ時、切なくて泣いてしまうんだろうなと思いながら見終えました。


この映画のキャッチコピーに
「伝わらなくてもいい。伝えたいと思った。」とあるのですが、これは加代の気持ちですよね。

加代も音痴が原因で、友達の心ない言葉などに傷つき殻に閉じこもって、自分の存在を消していた過去があるんだと思います。
でも、音楽とギターに出逢えて、少しずつ自分を認められるようになっていったんでしょうね、おそらく。

心配してくれる気持ちすら拒絶してしまう自分の弱さや狡さ、そしてそんな自分を憎くて情けなく思って、誰よりも自分自身を傷つけている事をよく分かっているから、志乃に対して「伝わらなくてもいい。伝えたいと思った。」という気持ちになったんでしょう。

!!!!【追記】!!!!

公式サイトに荻上チキさんのコメントがあって、
「嘲笑と自己嫌悪が渦巻く青春時代に、少女たちは叫ぶ。
 魔法が使えなくても、呪いをはねのけるために。」
…と書いてあり、
なるほど、知らず知らずに自分で自分に「呪い」をかけているんだなと思いました。

昔話やおとぎ話、童話などによくありますよね、魔法使いに醜い姿に変えられてしまうというのが。

有名なところでは「美女と野獣」でしょうか。
あれは、自分自身に「呪い」をかけてしまったんじゃないだろうか?
他人を信頼せず、心配してくれる者すら邪魔者扱いした挙げ句、どんどん孤立して、世の中を恨み、自分自身をも呪う。
…それが醜い姿の象徴なのではないだろうか?

物語では、「自分の命すらいとわず、愛する人を救おうとした時」に呪いが解けます。


「ハウルの動く城」でもそうですよね。
荒地の魔女の魔法で老婆に変えられたソフィーも、自分の事を二の次にしてハウルのために行動する時、ちゃんと若返りますよね。

他人を見下したり世の中を恨んだり、時に自分を憎んだり、でもそれは自身に「呪い」として還ってくる。
そして、その「呪い」を解くには、自分のことを後回しにして他人のために動くことが唯一の方法なのかもしれません。

昔話でちゃんと教えてくれていたんだと思います。


…なんだか変な方向に話が向かってしまいました。申し訳ない。

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