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【ネタバレ!】映画「いちごの唄」と「ゼロ・グラビティ」

えー、ネタバレしてますので、この映画をまだ見ていなくて、内容知りたくない方は、読まないでくださいね。お願いします。

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「いちごの唄」

元々は脚本家の岡田惠和さんと銀杏BOYZの峯田和伸さんの共著による連作短編集で、岡田さんが「銀杏BOYZ」の楽曲7曲からイメージして本作を上梓したとのこと。小説と並行して岡田が脚本を手掛けて映画化も進められていたようです。(ウィキペディアより)

主演は古舘佑太郎さんと石橋静河さんのお二人。

古舘佑太郎さん演じる冴えない青年コウタが、偶然、中学時代に無二の親友と「女神」と崇めて憧れていたクラスメイトの「あーちゃん(石橋静河さん)」に出会います。それが7月7日、七夕でもあるけれどコウタの親友伸二の命日でもある。
コウタは勇気を振り絞って近くのしょぼくれたラーメン屋に誘います。そして、来年の7月7日にも会う約束をする。
…というお話。

岡田さんといえば、僕は朝ドラの「ひよっこ」が大好きでした。
今回、なんだか「ひよっこ」メンバー大集合って感じです。
主演の古舘佑太郎さんをはじめ、
コウタの母の和久井映見さん、コウタの父の光石研さん、コウタの弟の泉澤祐希さん、らーめん屋の峯田和伸さん、伸二が暮らしていた「いちご園」の園長の宮本信子さん等など。
カメオ出演されている方も結構いるようで、探してみるのも面白いかもしれません。


そして、コウタを取り巻く女優陣が魅力的です。
憧れの女神「あーちゃん」を演じる石橋静河さん、
あーちゃんの中学時代を演じる清原果耶さん、
コウタの隣人、パンクなアケミを演じる岸井ゆきのさん、
コウタが被災地で出会う傷ついた少女を演じる蒔田彩珠さん。

当たり前ですが、みなさんしっかり個性が違って、映画の空気をご自身のものにサーっと変えてしまう。
「男はつらいよ」でも、主役は寅さんなんですが、やっぱり映画の顔はヒロインの方々ですもんね。
やっぱり映画は女優さんだなって、あらためて思いました。

あと、観終わると無性に銀杏BOYZの曲が聴きたくなります。


映画『いちごの唄』公式サイト

!!!!【ご注意】!!!!

ここから、
内容にかなり触れてしまいますので、ホントにお気をつけ下さい。

はじめのうち、僕は、何であーちゃんがコウタに付き合ってくれるのか分かりませんでした。
正直コウタは、無邪気といえば聞こえはいいけど、空気を一切読まないし、子供っぽいし、見ていてイライラする程どうしようもない奴なんです。
普通なら街で偶然出会っても、
「(誰だっけ? とりあえず)久しぶりだね。あっ、でも私今からちょっと用事があるんで、今度またね」っとなりそうなモンなんです。
コウタだってそうなる展開を予想しながら、ラーメン屋に誘います。
でもあーちゃんはコウタをしっかり覚えてくれていて、「いいよ」ときったないラーメン屋に付き合ってくれます。

まあ、そうならないと映画として始まらないので、それはそうなんですが。

でも、そういうことではなく、
あーちゃんは伸二の死から時間を止めてしまっていたんです。
で、コウタも本人は止めてるつもりはなかったのかもしれませんが、伸二の死から時間が止まっていたんです。

どうしようもない奴と思っていたコウタですが、
職場のおばちゃんや同僚の外国人には、すごく好かれています。
両親も弟もコウタをずっと大切に思っています。
猫にも隣人のパンクなねーちゃんにも、ラーメン屋のおじちゃんにも決して嫌われてはいません。むしろ好かれています。
コウタって優しくて純粋でいい奴なんです。そう、中学生がそのまま大人になったような。
だってそこから時間が止まっていたんだもんね。

だからなのか、普通の人が見逃してしまいがちな事もちゃんと見えます。
それが、被災地で出会う少女。
おそらく被災して家族を亡くしてしまったんでしょう。避難所の片隅で一人さびしく膝を抱えています。
コウタはその少女を見つけ、欲しい物はないかと訊き、音楽(iPodのような携帯プレイヤー)をプレセントします。ホント、いい奴なんです。


一方、あーちゃんは、伸二の死から時間を止めて、ずっとその責任を抱えて生きていました。
その姿は、なんだか映画「ゼロ・グラビティ」のライアン(サンドラ・ブロック)と重なります。

あっ、「ゼロ・グラビティ」を観ていない人は、お気をつけ下さい。内容を書いてしまいますので!

ライアンは、最愛の娘の死から立ち直れず、生きていても死んでいるような、心と身体がバラバラで宙に浮いているような状態でした。
彼女は生きることに関心がなくなっていたので、宇宙空間での船外活動に志願して参加します。

不運が重なって大切な仲間の「死」を経験し、自分にも襲いかかって来る死を初めて拒絶して「生きること」を選びます。
そして、死に物狂いで地球に生還し、娘の死以来感じる事のできなかった重力を全身で感じながら力強く立ち上がります。


ラストでコウタと自転車で坂道を疾走しながら、ストロベリーフィールドに飛び込むあーちゃんの屈託のない笑顔を見て、もう大丈夫なんだろうなと思いました。そして二人の時間はまた動き出したんでしょうね。

…ネタバレと言うか、全部書いてしまいましたね。ゴメンナサイ。



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