「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」島根県立石見美術館2023/4/22〜6/19
フィンランドを代表するガラス食器や花瓶、置物などのインテリア製品のブランド、イッタラ。
イッタラのブランドとしての歩みとその製品を、時代とデザイナーごとに多数の展示品で紹介する展覧会です。
2022年秋に渋谷Bunkamuraザミュージアムであった展覧会の巡回です。
一部を除いて、撮影はOKでした。
展覧会解説より 「1881年に、フィンランド南部にあるイッタラ村のガラス工場からイッタラは始まった。
その後、フィンランドがロシア帝国から独立した1917年にイッタラガラス工場とカルフラガラス工場が合併する。1920年代初めから64年間は、メーカー名としてカルフラ=イッタラという名称が使われていたが、製品にはそれぞれカルフラ、イッタラという名称が使われていた。
1932年と1936年にカルフラ=イッタラガラス工場が主催したガラスコンペティションをきっかけに、アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト夫妻がイッタラのデザインに関わるようになった。」
カイ・フランクデザインのイッタラカルティオのタンブラーとピッチャー、イッタラティーマのコーヒーカップとソーサー、ミルクピッチャー、ティーポットは、透明と白色の分が映画「かもめ食堂」に登場します。
今でも伝統的な木製の道具が使われている。水に浸しながら使う。徐々に焼けてしまうので専用の木工職人がいる。
展示解説より「1960年代からガラス表面にはっきりしたテクスチャーの凹凸が入った新しい製品が登場した。ティモ・サルネヴァが1964年にデザインした「フィンランディア」シリーズから始まった。この新しい技術は、ガラスデザインに美的にも技術的にも革命を起こすものだった。」
「現在、この技術を使ったシリーズで最も有名なのがタピオ・ヴィルカラが1968年にデザインした《ウルティマ•ツーレ 世界の果て》シリーズである。」
ヴィルカラがラップランドの別荘で氷から水が滴る様子を見て、デザインの着想を得たそうです。
我が家にも、これに似たガラスコップがありました。
こちらが本家だったんですね。
実用的なものばかりでなく、自然のかたちや素材を模したものや、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に着想を得たオブジェの数々も展示されていました。
こんな作品もありました。魚のあごがモチーフになっています。
「イッタラと日本」のコーナーでは
イッセイミヤケ、ミナペルホネンとのコラボレーション作品、隈研吾設計のイッタラ表参道店に使用された照明器具が展示されていました。
そして、皆川明氏と隈研吾氏がそれぞれイッタラについて語っている映像が見られました。
展示数が多く、カラフルで見ていて楽しかったです。
第1章と第2章の時代ごと、デザイナーごとの展示と、第3章「職人の技」のコーナーがとくに良かったです。木型や加工道具の実物が見られたことと、制作の動画が面白かったです。
製品は、デザイナーと職人の共同作業で作られる事がよくわかりました。
イッタラという一つのブランドの中に、複数のデザイナーがいて、建築家や技術者出身であったり、フィンランド出身ではない人もいると知りました。
北欧デザイン、と一括りにして考えがちですが、多様なものが含まれているのですね。
ミュージアムショップでは、グッズが種類豊富でした。定番の絵ハガキ、クリアファイルのほか、マグネットやノート、マルチクラス、ピンバッチ、Tシャツが柄違いでありました。
どれもかわいかった!
イッタラの食器、花器も販売されていました。
食器は収納に困るので、もう買わないと決めていたのに、買ってしまいました。
アアルトのタンブラーとオリゴのデザートボウルと一冊の本
( オリゴのマグカップも、「かもめ食堂」に登場します )
本は、ショップの書棚にふと目をやった時、偶然視界に入って、思わず手に取りました。
「人はなぜ「美しい」がわかるのか」橋本治著、ちくま新書
こちらの読書感想は、また別の記事に書きます。
美術館ロビーには図書館のような閲覧机が設けられています。
過去の展覧会の図録が自由に読めるようになっています。
島根県立芸術センター グラントワは、美術館、劇場が入った複合文化施設です。建物は口の字型で、回廊に囲まれた空間に四角形の池があります。
レストランもあります。
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