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やさぐれた気分になりたい時の4枚

 生きていると、もうどうにでもなってしまえと思うこともあります。仕事が終わらない、休みの度に天候が荒れる、面倒事に巻き込まれた……!
 やぶれかぶれ、捨て鉢投げやり自暴自棄。どうせやさぐれるなら思う存分やさぐれて、気持ちを切り替えていきましょう。そこで今回は、そんな時に聴くとやさぐれ感を増幅してくれるかっこいいアルバムを紹介します。


CAKE / Fashion Nugget(1996年)

 カリフォルニア出身の5人組バンド、CAKEの名盤。

 きゅっ、96年リリース?! とびっくりしますが、今聴いてもしびれるほどかっこいいです。昨今の音楽は、ジャンル問わず80-90年代に回帰しているところがあるので、新譜に混ざっていても違和感ないように思います。
 お恥ずかしながら、このバンドやアルバムを知ったのが結構最近な私は、最初聴いた時、新しいバンドなのかなと思っていました。情報を調べてびっくりした次第です。

 どの曲も全体的に、じゃりじゃりしたギターの音といい塩梅にやさぐれたボーカルが絶妙です。かったるそうでへろへろで、だけどそれがかっこいい。
 どの曲も好きなんですが、あえて1曲あげるとしたら言わずと知れた「I WILL SURVIVE」のカバーでしょうか。元の曲のイメージと比べると、CAKEの雰囲気がよくわかる曲だと思います。


 King Garbage / Make It Sweat(2017)

 Zach Cooperと Vic DiMotsisによる2人組デュオ。ミュージシャンとしてすでに活躍している2人とあって、間合いの取り方にも余裕を感じます。 

 King Garbageは音をぎゅっと詰めて圧倒するタイプではなくて、音と音の隙間が多めなスカスカ系で、それがたまりません。ダブ、ロック、ソウル……とあらゆる音楽の流れを組みながら、程よくだるい雰囲気が漂っていてめちゃめちゃ好きです。

 このアルバムの中で挙げるなら、1曲目の「Lost In The Sauce」がおすすめですよ。MVの、ちょっと画像がビデオっぽくがびがびしてる画質がまさに彼らの音楽を体現していてぴったりです。内容はちょっとシュール。


Yard Act / Dark Days(2021)

 すでに大人気の若手ポストパンクバンド。今後、ますます彼らの名前を目にする機会が増えたらいいなあ~とわくわくするバンドです。

 このEPは収録曲が4曲しかないので、全部かっこいいしおすすめなのですが、強いて言うなら、表題曲「Dark Days」。

 歌っているというより、ずっと理屈をこねくり回してあれこれ言っているようなボーカルが面白いです。サビに入る前の「ありがとな、撃たれないように時間稼ぎしといたよ」という歌詞が世界観を作っていて最高に好きです。いかにも皮肉屋、自嘲的。(歌詞は矢向の意訳です。実際に聴いてご自身で訳して楽しんでください)

 Yard Actについては、今までいろんなエッセイで触れています。


Talk Show / Touch The Ground(2022)

 ロンドンを拠点とするポスト・パンクバンド。なんとデビューは2020年とかで、これからが楽しみなバンドですね。

 ポスト・パンクは最近の流行ジャンルの一つだと言えるでしょうけれども、「今時にしては骨太な音」が魅力。2000年代のポスト・パンク、例えばHard-Fiなんかに近い雰囲気がある("Dirt in the Keyboard"のベースの動き方とか、音のもこもことびりびりの共存した感じとかまさにそれ)と思うのですが、不思議なもので「声質や歌い方が違えばUnderworldっぽいな」と思う楽曲もあるという。
 特に1曲目"Track 1"なんかはそれが顕著。そして2曲目に来るのが"Underworld"だったもので、びっくりしました。

 リードシングル"Cold House"では、90年代のバンドに焦点を当てたものを書きたかったそうなので、その辺りの年代を意識している音作りなのかもしれません。
 デビューのタイミング的に、思うように客前でのライブが出来なかったでしょうし、これから色んな場面で彼らの音楽を聴けるといいなーと思います。

 このアルバムについては、こちら記事でピックアップしました。


 やさぐれた気持ちの時に、盛り上がる音楽で気分を上げるのもいいですが、ライブハウスを抜け出してブツブツ悪態をつくような気持ちになって、やさぐれたかっこいい音楽でクールダウンしてみるのもよいのでは。
 結局かっこいい音楽っていうのは、気持ちを切り替えるのに効果的ですよね。知らない曲があれば、ぜひ聞いてみて下さい。


※この記事は、以下を元に更新しています。


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© 2022 Aki Yamukai

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