#ドラマ感想文「バイバイ、半地下の私」
短編映画のようなドラマだった。
半地下の部屋というと、映画「パラサイト」のイメージしかなかったが、このドラマの主人公の部屋は可愛らしかった。
おじさんが立ちションしたり、不審者が訪れたりは怖かったけれど。
家具家電付なんだ、とか、次の住人探しを自分でするのか、とか、賃貸物件のシステムがよくわからなかったけれど、家具家電付は引っ越しが楽そう。トラック一台で済ませていたし。
8年も浪人するほど、公務員試験は難しくて、それでもなりたい程の職業なのか。ということも知った。ドラマなので極端な描き方をしているのかもしれないが。
タンスの上のお金の謎は、第3話だったか、主人公が実家に帰り、父親が食事を持ってきたところで察しがついた。毎日電話するシーンについても。
コンビニ店員の心境はよくわからず、彼氏とのエピソードもそんなに内容がなかったけれど、引っ越しの車の中で泣き出したのは、なんとなく理解できる気がした。
新しいスタートへの希望はある。彼女にとって引っ越しは、良い方向に向かっていることだ。けれど8年暮らした場所から去る時に、そこで過ごした8年間の自分、母との思い出などを振り返って、こみ上げるものがあったのだろう。
部屋がどうこうではなく、そこで過ごした「半地下の私」の思い出。その日々との別れを描いた作品だった。原題は「バイバイB1」だけど、邦題の方がドラマをよく表している。
最後に、引っ越した新築の部屋が出てくるが、半地下の部屋のほうがお洒落だった。
短編ならではの良さが活かされた、じんわり心に残る良い作品だった。
<文・見出しイラスト/犬のしっぽヤモリの手>
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