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繊細で、敏感な人たちは、なぜ生きづらいのか?

先日、弊社社長から課題図書をもらいました。

その本の書き出しはこうです。

この本は、とても「敏感な人」ならびに程度の差はあれ繊細な心の持ち主である人々に向けて書かれたものです。

『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち | はじめに』

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今回は、その本の内容を一部紹介します。

もしも自分自身の繊細さ、周りの人の繊細さに戸惑っている方がいれば、覗いていってみてください。


敏感で、繊細。5人に1人が『HSP』

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HSPとは、1996年にアメリカの心理学者でセラピストのエレイン・アーロン氏によって提唱されたものだといいます。

英語では、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)といい、「ひといちばい繊細な人」という意味で、この頭文字を取ってHSP(エイチエスピー)と言います。

人に限らずコバエ、鳥、魚、イヌ、ネコ、馬、霊長類など、100種類以上の動物に同じ気質が見られることから、「繊細さ」は生きとし生けるものすべての生存本能「生き残るための戦略のひとつ」であると考えられています。

ですが、こうした気質を持つ人は職場や家庭など生活の中で気疲れしやすく、生きづらいと感じている方が多いのです。
『HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?~正しい知識で理解する大切さ~』|新宿ストレスクリニック


HSPは病名ではなく、気質。シンプルに言えば、人間を性別では男性と女性に分けられるように、敏感なタイプとタフなタイプに分けたものです。

このHSPの自己診断シートを受けてみると、僕は84点。60点以上がHSPに当てはまるとのこと。弊社社長が、僕に本書を課題図書として与えてくれた訳がわかりました。

例えば、診断シートと本書の内容から抜き出した中で、たしかに僕はHSPという気質を備えているんだなと思い当たった傾向の一部です。

■常に高い基準を設け、優秀でいなければ
 誰からも認められないと思っている。

■自分に高度な要求をするあまり、
 幾度となく自分自身に失望し、
 疲弊することがある。

■会話を始める際、あらかじめ複数の
 会話パターンを考えてから声をかける。

上記のような傾向があったりそれらに悩んでいたりする方は、その根っこにある属性を理解し、習慣や行動を整えることでその生きづらさを軽減することができるかもしれません。

また、このような方を部下・同僚に抱える方は、この属性を念頭に置いて接することでより一緒に働きやすくなるかもしれません。


繊細であるがゆえに発揮できる能力

少しだけ人よりも敏感で、繊細な人たちだからこそ備えているいくつかの能力がある。

本書には、そうも書かれています。

①一度に多くの情報を吸収できる。

敏感な神経を持つため、細かいところまで感じ取り、受け取った情報が心の奥まで届く。そして、得た情報を元に様々な思考や空想を広げる。

一方で、多くのことを感じ取り、想像することで、脳内ハードディスクがいっぱいになりやすい。
②深く、多角的に考えられる。

作家やアーティスト、思想家の多くがHSPといわれる。
1つのものごとをいろんな視点から考えられる。

そのための、じっくり考える時間も必要。
③危機管理能力が高い。

新たな状況に身を置いたとき、熟慮しながら慎重に行動することが多い。例えば、会話を始める際にはあらかじめ複数のパターンを考えてから声をかけるということをする人も。

あらゆる可能性や選択肢を想像できるため、失敗を回避しやすい。一方で、行動が遅くなる。
④誠実で、責任感がある。

さまざまな物事に責任を感じ取る。幼い頃から周囲の不穏な空気を感じ取り、どうにかしようと苦心してきた人が多い。

本来は誠実な人なのに、刺激を受けすぎると心に余裕がなくなり、配慮を欠いてしまう。

本書からいくつかを取り上げましたが、これらの特徴を色濃く持っている一方で、それらがマイナスに転じた場合のリスクも書かれていました。


HSPの中にも外交的な人がいる。

シンプルには「内向的」と捉えられることが多いHSP。

実際にはHSPの気質を抱える人の70%が内向的である一方で、30%は外向的な人なのだといいます。

例えば大家族で育った人や寮生活が長かった人の中には、HSPでありながらも外向性を備えた人がいます。明るくふるまうことを迫られる環境で外向性を身につけざるを得なかったともいえる。

自分の限界以上に外交的であろうとすることによるストレスを抱えてしまうことがある。

さらに、もう1つ変形型のHSPが語られていました。

(HSPを抱える人の)多くがスリルよりも安心を優先し、慣れ親しんだものに心地よさを見いだすなか、冒険心が旺盛で、探検が好きな人もいる。

ルーティンワーク等のなかで退屈を感じると新たな行動を起こすのだが、敏感であるがゆえに刺激を感じ取りすぎて疲弊してしまうこともある。事後に自らを責めることも。

まるで、片方の足でアクセル、もう片方の足でブレーキを踏んでいるような状態。バランスをいかにとるかが重要。


僕自身は、冒頭で触れた純粋なHSPというよりは、ここでいう後者の気質にあたると思います。

これまでにリヤカーで旅をしたり新しい事業に率先して取り組んだりすることがあったんですが、その時はいつも退屈なそれまでの日常から新しい冒険に出るような気持ちでした。

しかしながら、実際にやり始めてみると「思っていたより大きな一歩を踏み出してしまったな・・」と気づき、新しい冒険の中で感じる刺激や向き合う困難に耐えきれなくなりそうな時期がありました。

「なんで、こんな大変な思いをしてまでやってるのか」「なんで、こんなことを始めてしまったんだ」と、時々自分を責めてしまうこともありました。

今となっては自分の気質をある程度理解してバランスをとれるよう、少しずつ心がけられるようになりましたが、それ以前は大変で。自分がいい状態でない時に周囲に気を使わせてしまうようなこともかなり多かったと思います。

「腐ったミカンは、同じミカン箱に入っている他のミカンも腐らせてしまうんだよ。今のたかひろは腐ったミカン。変わらないと、みんなに悪い影響を与え続けちゃうよ」

そんな風に教えてくれる人もいました。


HSPであるがゆえに抱えやすい問題

先ほどは繊細であるがゆえに発揮できる能力について触れましたが、その一方でHSPであるがゆえに抱えやすい問題もあるといいます。

①自分に高度な要求をしてしまう。

以下のことに高い基準を設けがちです。
「親切心・もてなしの心・気遣い・相手への注意・思慮深さ・責任・他者への関心」

そして、「ここまででいい」とは思えず、理想の自分との間の隔たりを強く感じてしまう。

自分に高い基準を設けがちな理由・背景のひとつに、自尊心が低いことが挙げられると書かれています。

「自信」とは、自分の能力と行動に対する信頼。「自尊心」とは、自分の内側に潜む芯の部分を感じ、自分の価値を信じる心。

自分が育った環境の中で理想とされる行動規範から逸脱してきた経験がある人は、自尊心が低い人が多い。他の人よりも懸命に、あらゆる部分で優秀であろうとする。

こういった人は、「高い基準を設けていないと誰からも認められない」「高い基準を設けているから、周りは認めてくれているんだ」と思っている。

僕自身は、先日思い当たる節がありました。

自らの意思ではないままに基準を高く設け続け、「外側の何か」にばかり気を取られていると、やがて悪循環がやってくる。

基準が高く、自分に高度な要求をするあまり、幾度となく自分自身に失望し、疲弊する。そんな自己を批判・否定する。その悪循環に陥る。

悪循環から抜け出すには、基準を下げること。


基準を高く設けがちな他にも、責任の範囲を広くとらえがちな側面もあるといいます。

②罪悪感

自分がかかわった幅広いことに責任を感じ取るため、自分の力がおよばないところにまで罪悪感を抱くことがある。しかし、その必要はない。

病気になってしまった時に罪悪感や無力さを感じる人がいるが、病気にならない保証はどこにもない。コントロールできない要素もある。過度な罪悪感を抱くことは避けるべき。


想像力の豊かさがゆえに、憂鬱になりやすいともいわれています。

③恐怖心から憂鬱になりやすい

ものごとのいい方向も悪い方向も広く想像できるため、不安を抱えやすい。


繊細さとうまく付き合う方法

本書の最後には、このような繊細さとうまく付き合っていく方法がいくつか紹介されていました。

・自分の限界点を伝える。
・休憩や散会の時間を事前に伝えておく。
・自分にできることは限られてると受け入れる。
・HSPの能力を楽しむ機会を作る。
 (自然、クリエイティブ、運動、哲学など)
・自分自身を理解し、自分自身と和解する。


なかでも、個人的に印象に残った箇所が次の部分。

憂鬱な時にはネガティブになりがち。ネガティブな状態から回復するために必要なのは、睡眠ではなく成功体験。布団にくるまって早く寝ても、何も変わらない。小さな成功体験を積み重ねる。
直接感情をコントロールすることはできないが、思考はある程度コントロールが可能。同じ出来事でも、とらえ方次第で異なる感情が出てくる。

自らの繊細さとうまく付き合っていくためには、自分の特性から逃げず、向き合うこと。そして、コツコツと、徐々に繊細な自分を飼いならしていくことが大切だということですね。


最後に

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

もしも自分自身の繊細さ、周りの人の繊細さに戸惑っている方がいれば、この本を手に取ってみてください。


そして、最後に。友人のブログから。

自分を大事にするって、自分を過保護にするってことじゃないってこと。あなたはそんなに弱くも脆くもないってこと。人間の生命力なめないで欲しい。


少しずつ自信がついて、安心して生きれるようになったら、そこが終わりじゃない。また次のステージへ。


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