実家が全焼した話④

 次の日は普通に会社に出勤。
 とりあえず事情を説明する。1日経ってるから、ネットニュースを調べたら普通に出てくる。はい、これが、うちです。
 日付は確定していないけど、来週か再来週に1週間くらい忌引で休むこと、新入社員にはそれまでに詰め込みで仕事を教えることなどを伝える。

 一緒に働いてるおじちゃんに心配される。
 悲しいというより、現実味がないし、どっちかというと何もかも燃えて困ってる、と無難な感じで返事しておく。


 中学の友だちからも連絡がある。ニュース見て名字が一緒だし、まさかと思って連絡したとのこと。
 当たり。それ、うちやで。
 心配されたけど、会社のおじちゃんと同じように無難に返しておく。心配してくれる人がいるというのはありがたいもんだ。心が少しほっこりする。

 結局ニュース見て連絡してきたのはその1人だけで、あとは特に何も連絡はなかった。事件ではないし、その日の朝1回流れて終わりだろうから、むしろ連絡してきた友だちはタイミング良く見てたってことなんだろうな。今時、テレビでニュースを見ている人も少ないように思う。


 昨日に引き続き今後のことについて調べる。暇な会社でよかった。調べものが捗る。
 やらなければならないのは主に以下の5つ。

1、葬儀関係
2、役所関係手続き(年金、健康保険、固定資産税など)
3、相続財産の確認(銀行、保険、有価証券、借金・ローン)
4、土地・建物の相続、解体、不動産売却関係
5、各種解約処理(ライフライン、スマホ、ネット、NHK、その他)


 葬儀まではこっちで進められることはないから、基本向こうに任せるとして

2→基本的に手続きの期限が短い。葬儀後早々に進めなければならない。

3→銀行口座、保険関係は通帳、証書類が燃えたので不明。母の記憶から、メインで引き落とししてた銀行1つだけは辛うじてわかった。過去の出来事から借入に関しても調べる必要がある。

4→相続しようがしまいが、解体工事は必ずやらなければならない。隣家のことを考えても早急に対応する必要があるが、相続手続きが完了しないと解体工事ができない。(正確には完了してなくてもできるけど、その後が問題)
もともと家の前の道幅が4m以下で売却が難しい物件だったはず。この度、死亡火災のハイパー事故物件にメガ進化を遂げた。

5→銀行口座が判明し、かつ過去の取引履歴を入手してからの作業。取引先さえ分かれば、解約自体はたぶんどこからでもできる。解約処理をしないと、請求が発生し続ける。


 やる事多いなー…………_(:3 」∠)_



その日の夜に妹から連絡がきた。


①隣家について
 延焼は無く、お詫び(菓子折り)は受け入れてもらえたとのこと。窓ガラスが割れた(って言っても大事だが)が、酷い被害はなかったので大丈夫。ちょうど先方の保険屋が来ていたそうなので、そちらの損害の補填もできてそう。弟が連絡先を交換した。

②現場検証について
 昨日も警察に聞かれたが、改めて間取りなどの詳細な聞き取りが行われて、火災原因について調べられた。
 何度か毛布を焦がした跡があり、寝タバコの可能性が高いように思われるが、原因となるものが全て燃えているため出火原因は特定できない。罹災証明は翌日以降に発行可能。

③その他
 市役所で必要な手続きの相談をして、案内の紙をもらった。水道を止めてもらった。
 病院まで直前まで入院していた父の荷物を引き取りに行った。


 免責事項はギリギリ逃れた!あっぶね!
 第一関門クリア。火災保険が生きてるかわからないけど、これがアウトだったら全てが終わるとこだった。


 罹災証明の件は改めてお願いしておく。


 明日は新入社員がやってくる。
 明日も1日がんばるぞい。


【各種手続きの期限について】
[7日以内]
・死亡届提出 ・火葬許可提出
(このへんは葬儀社が代行してくれたりする)

[14日以内]
・年金受給停止手続 ・健康保険資格喪失手続
・介護保険資格喪失手続
・世帯主変更届(今回は不要)

[3ヶ月以内]
・相続放棄
(相続人それぞれが個別に行う。ただし、全員が放棄した場合、同居していた人などが土地・建物の管理義務を負う。今回は全員離れて住んでいたが、相続放棄しても保存義務は残る。解体をしないと隣家から損害賠償請求をうける可能性がある。)

[4ヶ月以内]
・準確定申告
(死亡した人の分の確定申告。収入の状況や時期によって必要かどうか変わる。今回は不要)

[10ヶ月以内]
・相続税の申告

[解体後1ヶ月以内]
・滅失登記(違反に対して罰金の規定あり)


【火災保険の主な免責事項】
免責事項:保険金の支払いがされない事由
・故意の損害、重大な過失、法令違反
(寝タバコ、空焚き、火をつけたままで給油したことによる火災、自らの放火など)
・建物の経年劣化に伴う損害
・戦争、紛争、内乱などによる損害
・初回保険料支払い前の損害
・地震、津波、噴火による災害(保険の種類にもよるが、地震保険の保障範囲)
・原発事故による災害


⑤へつづく



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?