実家が全焼した話⑤

 いよいよ新入社員がやって来た。
 引継ぎ期間は1ヶ月(実質3週間)。
 入社早々申し訳ないが、事情を説明し近々1週間不在にするため、引継ぎをガンガンやる旨を伝える。いきなり重い話で申し訳なさがすごい。
 ヤバイとこに入ったと思われたかもしれない。
 どうせ、今月末にはいなくなるからねー。頑張って覚えましょうねー。


 教えはじめてみたが、残念ながら覚えのよいタイプではなかった。
 真面目な人で言ったことのメモは取るし、返事も悪くない。ただ、次同じことする時にメモを取ったことを覚えてない。
 マニュアルを渡してあるけど、マニュアルの存在が記憶にない。
 …………どうすりゃいいんだよ(´ ˙꒳˙ `)


 面接に来たのが2人で、すごくヤバイやつと今回来た人で、実質1択だったけど、やっぱりそこそこヤバかった。私が育休取った時に来た人もヤバイやつだった。
 流石、離職率の高い、限界ギリギリ地方零細企業弊社。ハロワでブラックリスト入りしててまともに紹介してもらえてない可能性がある。


 不在期間が不安でしょうがないけど諦める。



 引継ぎはしつつ、葬儀の前にできる準備をすすめておく。


 まず、旦那に今回葬儀で帰省する際、私だけ1週間くらい一人で残ることの了承をもらう。加えて来月あたりにもう一度同じ期間くらい帰省する予定も話しておく。
 弟:虚弱、妹:コミュ障、事務作業経験が少なく事務仕事、交渉関係を安心して任せられないのが主な理由。流石に短期間にやる事が集中してて、子どもまでは手が回らないのでお願いする。
 家事、育児の任せられる旦那で良かった。ありがたい。子どもには寂しい思いをさせて申し訳ない。

 
 次に、自分が入社する予定だった会社へ連絡。もともと入社日が確定していたわけじゃないのと、先方が引継ぎに急いでない状況もあって、落ち着いてからの入社で了承をいただく。
 とはいえ、そうそうゆっくりも進めていられない。限界ギリギリ地方会社員の私には、金銭的な余裕が全くない。そのために転職したくらいだし。
 締日あたりの入社を目標に相続関係をまとめていく予定に(勝手に)する。猶予は約1ヶ月半。


 今回の帰省で葬儀以外にやるべきことは次のとおり。

①役所関係の手続き
②戸籍謄本、除籍住民票など今後の手続きに必要な書類の入手
③取引銀行の確定、残高証明と取引履歴(直近10年分)の入手
④土地、不動産の情報を入手して解体、売却の見積依頼
⑤保険会社の特定、請求のための連絡
⑥各種解約手続き
⑦信用情報開示請求(3社)


 1週間くらいあるとはいえ、葬儀で2日、帰りに1日と考えると動ける日数は限られるし、役所、銀行、保険に関しては平日のみの対応になるから、かなりタイトスケジュール。
 

 その中でも銀行の特定はかなり重要だけど、どこかでまとめて聞けるわけではないから、口座があるかどうか各行に直接問い合わせて回らないといけない。地獄。


 残高証明と取引履歴の入手、その他の色々な手続きに必要な書類を、会社を中抜けして市役所まで取りに行く。
・戸籍謄本(全部事項) ・住民票 ・印鑑証明
 これで、とりあえず今できる準備は終わったかな。


 何かシンドイことがあった時に、「神様は乗り越えられる人にしか試練は与えないんだよ」みたいな謎の励まし?をしてくる人がいるけど、乗り越えられなかった奴は片っ端から死んでるかどうにかなってるだけだと言いたい。やるしかねえ。もはや戦の前の戦士の気分になりつつある。


 面倒なことがある反動か雀魂の成績だけはめちゃめちゃ良かった。もっと他のところで乱数調整してくれ。


 
 そして2週間後、検死が終わった連絡がくる。
 葬儀は土日に決まった。 


【書類や信用情報の入手について】
 うちの場合は金銭的な余裕が全く無かったので自分ですることになったが、余裕があれば司法書士や税理士、弁護士などに戸籍等の書類の入手や信用情報の調査などを委託することが可能。
 書類の入手、遺産分割協議書の作成、登記処理など相続関係をまとめてパック料金で取り扱っているところもある。30万円+実費くらいが必要かも。
 銀行の人に聞いた話では、弁護士や税理士、司法書士の方がよく情報開示にみえますよとのこと。いいお金になるのかな?

【信用情報開示】
 ・CIC  ・JICC
 ・全国銀行個人信用情報センター
 以上3社あるが、カバーしている範囲が異なるので、相続などで借入状況を調べる際は、全てに開示請求をかける必要がある。開示の際に必要な書類も3社それぞれ異なるので地味に面倒。
 請求後、2週間程度で結果が返送される。
 当然、開示の書式も3社全て異なる。見にくい。

【限界ギリギリ地方会社員】
 正社員なのにホントに手取りが少なくて、たまにネットニュースとかで取り上げられるアレ。
 地方から1歩も出たことがない老害どもは、ニュースや新聞は好んで見るくせに、ウン10年前に自分達がもらっていた給料(額面)と同じ額で生活ができると思いこんでいるフシがある。
 


⑥につづく


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