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【前編】VOCALOID:2020年のルーキー10人・10曲

サムネイルの画像は廉さんの神堕とし奇譚(イラスト:ヒトこもるさん)です。

【お断り】今回の記事は文章量が膨大になってしまったため、前後編に分けて記事にすることにしました。後半は現在執筆中です、もう少しお待ちください。

 2020年が終わって一ヶ月が経ち、2020年のボカロシーンに対して一つ気持ちの面で区切りが付いたので、2020年のルーキーボカロPの方10名をそれぞれの代表曲1本とともに紹介していこうかと思います。
ルーキーの定義にも色々あるかと思いますが、今回はシンプルに"2020年に始めて自作ボカロ曲の投稿を行ったP"とします(既に音楽活動をされていた場合でもボカロ曲初投稿が2020年であればルーキー、となります)。
また、本記事で紹介するボカロPの方及びその代表曲は筆者の私選であり、再生回数やチャンネル登録者といった明確な定義に基づいたものでない事を理解下さい。
それでは、解説に移りたいと思います!

1:廉

 2020年3月15日、「レーヴの落日」でデビュー。年内に投稿された曲は「レーヴの落日」「神堕とし奇譚」「ダウナーウィッチ」の三曲のみという寡作な方ですが、それら全てがYouTube10万回再生を達成しているという実力派ルーキーです。2月2日からダウンロード・ストリーミング解禁ということで、Apple Musicで聴きながら執筆しております。Twitter→https://twitter.com/ren_suimin
・オススメの一曲「神堕とし奇譚」


https://youtu.be/D5rIyGZGom4

 低音が印象的なピアノとバンド的な要素の強い激しいドラム、そしてチップチューンを思わせるゲーム音楽のようなシンセサイザーが魅力の一曲です。土台となるドラムとベースは生っぽいのにメロディを弾くシンセサイザーが打ち込み的というのがすごく新鮮で、この二つの要素がしっかりと組み合わさって曲となっているのがまた不思議ですね。wowakaさんやkemuさん、日向電工さんなどが開拓したバンドサウンド+打ち込みというバックボーンを持ちつつ、独自のサウンドが随所に挿入されているのが素晴らしいです。

2:柊マグネタイト

 2020年9月3日、「或世界消失」でデビュー。ボカコレ2020冬ルーキーランキングで一位を取ったことが記憶に新しい、新進気鋭のルーキーボカロPさんです。
Twitter→https://twitter.com/hiiragi_magne
・オススメの一曲「終焉逃避行」

https://youtu.be/yVi3mhLr0uU

 デビューしてから2年以内のボカロPさんを対象としたボカコレ2020冬ルーキーランキングで1位を獲得したのがこの曲です。この曲はイントロから柊マグネタイトさんの持ち味である強烈なピアノが炸裂し、視聴者に劇的なインパクトを与えます。この曲もドラムとベースはバンド的ですが、メインとなるピアノ部分は明確にそれとは違う妙味を持っており、その組み合わせがオリジナリティを感じる所以ではないかと思います。また、ピアノが印象的なイントロの次に当たる1番Aメロ部分はドラムとベースのみの静かなトラックだったりと音のメリハリの付け方にも巧妙さを感じました。

3:雨乃こそあど

 2020年4月17日、「過剰摂取」でデビュー。今年2月11日に1st album「蘇生」のリリースを予定しています。筆者もboothにて予約させていただきました、楽しみに待っております!
Twitter→https://twitter.com/amano_kosoado
・オススメの一曲「死人舞踏会」

https://youtu.be/qReK0AWtRAc

 現在、YouTubeで120万回再生を誇る雨乃こそあどさんの代表曲です。こちらもピアノが印象的な曲ですが、前の2人と明確に違う部分はリズムで、前2人がバンド的なドラムだったのに対してこちらはEDMを思わせる重厚感のある打ち込みドラムが基本となっています。構成としてはピアノ、ベース、ドラムという非常にシンプルなものなのですが、特殊なエフェクトのかかったピアノが奏でるメロディの中毒性があまりにも強く、音楽としての強度不足を一切感じさせません。一度聴いたら耳から離れなくなる、素晴らしいサウンドだと思います。

4:Kanaria

 2020年5月10日、「百鬼祭」でデビュー。処女作でニコニコ動画殿堂入り(10万回再生)を達成し、次作「King」はYouTube1,500万回再生、ニコニコ200万回再生を達成(2021年2月現在)するなど、超話題のルーキーボカロPさんです。去年12月9日に1st album「King」をリリースしました。
Twitter→ https://twitter.com/kanaria390
・オススメの一曲「King」

https://youtu.be/cm-l2h6GB8Q

 恐らく、こんな場末の記事を読んでいるボカロファンの方は説明せずとも知っているでしょう今年最大のヒットボカロ曲、kingです。こちらも明確にEDMのアプローチから製作された曲で、四つ打ちを基調としたリズムに合わせて一定の間隔で重いベースが鳴り響きます。また、この曲にはサビが無かったりGumiのバイリンガル発音の調教だったり最後のアウトロで転調してみたりとかなり前衛的な要素が取り入れられており、この曲のヒットによってそれらの要素が今後のボカロにおけるスタンダードになる可能性もあるかと思います。2020年のボーカロイドシーンを語る上で絶対に外せない一曲です。
(こちらの記事でもKing/kanariaについて少し書いています!→ https://note.com/yamikumo_voca/n/n0afbe85a18e6)

5:不眠症

 2020年8月13日、「無重力サイレン」でデビュー。映像制作にWOOMAさん、エンジニアリングに友達募集Pさん、Bass演奏にくじらさんと著名なボカロPさんの方を招いての体制が話題になりました。
Twitter→https://twitter.com/fuminsho1107
・オススメの一曲「無重力サイレン」

https://youtu.be/aeqaP95-Ew4

 前述の通り錚々たる面々が揃ったこちらの曲は、良い意味でオールドライクなボカロックという感じの曲調。じんさんなどが活躍した2010年代前半のボーカロイドシーンのエッセンスを引き継いでいる感じですね。うねるようなベース、爽快感あるギター、スネアが絶妙なドラム、そのどれもがロックとして洗練されていて、疾走感溢れるサビはこれぞ邦楽ロックの名曲!と言う感じのオーラを醸し出しています。これをv Flowerが歌っているというのがまた新鮮で新しいボカロックの夜明けを感じさせます。

(後編へと続きます)

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