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私的に「VOCALOID:2020年の10曲」を選んでみました(解説付き)

サムネイルの画像はKanariaさんの百鬼祭(イラスト:白咲めぐるさん)です。

 私的な見識から「VOCALOID:2020年の10曲」を選んでみました。今年の顔、と言えるような曲を10曲選んだつもりです。(もちろん、この10曲に含まれていない曲=良くない曲という事はありません。)  

 また今回、紹介するアーティストの方の名前は敬称を省略させて頂きました。ご了承下さい。それでは選曲と楽曲解説に参りたいと思います!

1:百鬼祭/Kanaria


-楽曲情報-
投稿日時:2020年5月13日
再生時間:3分13秒
歌唱:初音ミク
-楽曲紹介-
 今最も熱いボカロP、Kanaria。17歳(2020年2月3日時点)という若さで本曲を制作・投稿し、初投稿ながらニコニコ動画殿堂入り(10万再生)を達成するなど、鮮烈なデビューを飾った。
 昨今のボカロシーンでは珍しい和風テイストを取り入れ、そこにKnaria自信が持つエッセンスを加えることで制作された本曲は他に類を見ない独特の雰囲気を醸し出す。

2:ダーリンダンス/かいりきベア

-楽曲情報-
投稿日時:2020年8月30日
再生時間:3分28秒
歌唱:初音ミク
-楽曲紹介-
 2016年ごろから急速に頭角を表したボカロP、かいりきベアは2020年も絶好調。本曲を含め多数の楽曲を投稿した。曲調としてはギターを主体としたオーソドックスなかいりきベアの楽曲だが、一番Aメロの「曖昧一回楽に」の部分など、随所に特殊なボーカルを挿入しており、飽きを感じさせない。

3:テレキャスタービーボーイ/すりぃ

-楽曲情報-
投稿日時:2020年9月12日
再生時間:2分45秒
歌唱:鏡音リン
-楽曲紹介-
 多くのファンから待望されていた「テレキャスタービーボーイ」のLong versionが遂に投下。
 生音ならではのアナログ的響きのベースと歯切れの良いギターから繰り出される、コミカルでそれでいてどことなく切ないメロディがテンポ良く曲を引っ張って行く。
 ハイハットを裏拍に置く事で疾走感を演出しているサビは必聴。


4:アイ情劣等生/かいりきベア

-楽曲情報-
投稿日時:2020年6月27日
再生時間:4分12秒
歌唱:鏡音リン
-楽曲紹介-
 イントロから強烈なかいりきベア節が炸裂する本曲はゲームアプリコンパスへの書き下ろし曲。
 左右にパンされたギターから繰り出されるイントロの勢いをそのままにAメロ、そしてサビへと突き抜けて行く。その間に余計なタメを全く作らない事でとんでもない疾走感が生まれている。
 曲中の後半には前半部とはガラッと印象の変わるパートもあり、かいりきベアの音楽の幅広さを体験できる一曲。


5:ラグトレイン/稲葉曇

-楽曲情報-
投稿日時:2020年7月16日
再生時間:4分12秒
歌唱:歌愛ユキ
-楽曲紹介-
 "歌愛ユキマスター"こと稲葉曇の一曲。
 ギターを使用したロックテイストのサウンドではありながらも前述のかいりきベアとは全く違い、サカナクションなどの音楽性に近いシンセサイザーを使用した独自のロックサウンドを曲中で確立している。一部にピアノを使っている点もユニーク。
 また、ボーカルの入れ方もやや特殊で、そこに稲葉曇の特殊なワードセンスも相まって他の者には再現不可能な独特の世界観を構成している。


6:孤独の宗教/syudou

-楽曲情報-
投稿日時:2020年2月3日
再生時間:3分11秒
歌唱:初音ミク
-楽曲紹介-
 2019年のヒット連発で一気に知名度を上げた、今旬なボカロPの一人であるsyudouの作品。1周年、おめでとうございます!
 ヒップホップを思わせるドラム・ハイハット・カウベルに低いピアノによるコード弾き、それに明るいリードシンセと一見すると全く合わなさそうな音源同士が見事にマッチし、ダークで奇妙な空気を漂わせている。さらに、独自の言葉遣いで「孤独」や「信仰心」といったテーマを歌詞に落とし込んでおり、様々な面でsyudouならではの一曲といえる。


7:エバ/柊キライ

-楽曲情報-
投稿日時:2020年1月3日
再生時間:3分49秒
歌唱:v Flower
-楽曲紹介-
 2019年に投稿した「オートファジー」の大ヒットにより一気に第一線へと飛び込んできた柊キライの2020年内最初の曲。1周年おめでとうございました!
 リズムはダンスミュージックを思わせる四つ打ちだが、そこに合わさるのはシンセサイザーではなく早いリズムでメロディを弾きまくる中音域の抜けた高い音のピアノ。
 そのピアノに引っ張られながらサビに突入するのかと思いきやシンセベースやインパクトを使い、なおかつリズムも倍拍になるブレイク(と呼ぶのが適切なのかは不明)が入り、そしてサビに入るというもはや説明不可能な独特すぎる一曲。


8:シェーマ/chinozo

-楽曲情報-
投稿日時:2020年9月14日
再生時間:3分28秒
歌唱:v Flower
-楽曲紹介-
  「グッバイ宣言」のヒットにより2020年のシーンに強烈な印象を残したchinozoの最新作(2021年2月3日現在)。
 洋楽っぽいスネアのドラムとピアノ、ベース、アコースティックギターという非常にライトかつシンプルな構成でありながら、盛り上がるべきシーンではしっかりと盛り上がりを提供してくれるというプロの技が光る一曲。
 一つ一つの音が洗練されきったものであれば、音を追加しなくとも盛り上がりが演出できる、という事を感じさせられる。


9:ヴィラン/てにをは

-楽曲情報-
投稿日時:2020年2月7日
再生時間:3分20秒
歌唱:v Flower
-楽曲紹介-
 2012年辺りから活動を続けている古参ボカロP、てにをはが放ったホームラン級のヒット作。
 綺麗な音のアコースティックギターを中核としつつもディストレーションを強くかけたアコギ、低い音のピアノなど様々な音を組み合わせて作られており、とにかく聴き心地が良い。ベテランならではの音楽的見地の深さを感じさせる一曲。
 また、ジェンダーの問題をメタファーを交えながら描写した歌詞にも注目。


10:KING/Kanaria

-楽曲情報-
投稿日時:2020年8月2日
再生時間:2分15秒
歌唱:Gumi
-楽曲紹介-
 本記事の最後を飾るのは、ボカロP・Kanariaの存在を世に知らしめ、2020年のボーカロイドシーンで最も強烈な影響を残した一曲、「KING」。
 本曲はKanariaの前作「百鬼祭」とは全く違う、四つ打ちにシンセサイザーを合わせたダンスミュージックに近い楽曲になっており、そこにGumi Englishのバイリンガル的な発音のボーカルを挿入することによって"Kanariaらしさ"を残しつつ前作とは全く別の楽曲を生成することに成功している。
 さらに本曲はintro→Aメロまでは一般的な楽曲と同じような構成で進むものの、サビに該当する部分が存在しないというEDM的特殊構成となっており、そのことも作用して再生時間は2分15秒と今回紹介する諸曲の中で最も短い。それにも関わらず、驚異的な中毒性を発揮し、聴くものの心を鷲掴みにして離さないほどのパワーを秘めている。素晴らしいと同時に恐ろしくもある、2020年を象徴するような名曲。


終わりの挨拶

 これにて楽曲解説を終わります。お読みいただきありがとうございました!拙い文章もあったかと思いますが、自分の好きな曲の事を精一杯の語彙で説明したつもりです。 
 最後に、引用させて頂いたボーカロイドアーティストの皆様に感謝と尊敬の念を込め、終わりたいと思います。ありがとうございました!

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