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スタートアップの事業開発ってどんな仕事をするんですか?

はじめに

こんにちは。Turing株式会社で事業開発を担当している山崎と申します。連日社員が持ち回りで更新するTuring アドベントカレンダー、本日は私が担当します。(ヘッダー画像のとおり実は1日過ぎていることは秘密です…)

これまでの記事はこちらからご覧いただけます。

この記事で書くこと

私は約1年前にTuringに入社し、現在は1人目の「事業開発室」メンバーを名乗っています。しかし前職が公務員だったこともあり「事業開発/BizDev」というのがどのような領域を指すのかいまひとつピンとこないところがあります。
(試しにnoteで「事業開発_スタートアップ」などと検索してみると、先人の皆さんも結構「定義は曖昧だし、会社によってまちまちだし、よくわからないですよね」みたいなことを書いていて安心します。笑)

今回の記事では、あくまで私の個人的な経験談としてどのような仕事を担当してきたのかをご紹介します。事業系の職種はどうしても飛んできたボールを打ち返すような特性が強くジョブディスクリプションに落とし込むのが難しい側面がありますが、「Turing、挑戦的で面白そうだけど、自分はエンジニアじゃないし関係ないかな」という方に興味を持ってもらうきっかけになれたらと思います。

アルバイトで入社~正社員へ

業務内容の紹介に入る前に少し、私がTuringのことを知り、入社に至った経緯をご紹介します。2022年の秋頃、前職を辞め無職を謳歌していた私はCEO 山本一成さんのTweetを見かけました。

この時点でTuringという会社をはっきりと認識していたわけではないのですが、ちょうど千葉県内に引っ越してきたことと単純な好奇心、運転は嫌いじゃないしスタートアップの働き方も見てみたい、規則正しい生活もできていことずくめじゃん!と一念発起してDMを送りました。
私にとっては「有名人の山本さん」だったので、結構勇気を出しました。

外勤のアルバイトとはいえ、社員として働き始めるとslackでのやり取りなど外からでは見えないものも見えてきて、どうやらこの人たちは本気で完全自動運転を作ろうとしてるらしい…というのが肌身で感じられるようになり、改めて衝撃を受けました。
ドライバー業務を1か月ほど続けたあたりでこの会社への興味が増し、山本さんに「改めて自己紹介させてもらえませんか」と職務経歴書を送り付けて面談をしてもらい、現在に至ります。

この1年でやってきたこと

閑話休題、ここからは具体的にこの一年間で私がやってきたいくつかのプロジェクトをご紹介していきます。

事業計画(のようなもの)

とりあえずオフィスワーカーになってコーポレートチームや開発部のサポート業務をこなしていると、CTOの青木さんから「山崎さんが入社したことを社内に知らしめるために、何か一つ武勲を上げたほうがいい」というような宿題をもらいました。
初めての転職で自分の経験やスキルセットを言語化できないまま半ば宙ぶらりんだった私は、今までの経験から自分にできそうなことを絞り出し、「自分がこの会社で渉外対応をするならば、相手を説得するための武器が必要だ。個々人やチームがそれぞれに描いている将来像を整理して可視化するべきだ」と考え事業計画の線表を作成しました。ポンチ絵というやつですね。
このアウトプット自体がどの程度会社の役に立てたかは定かでないですが、当時の私はドライバー職から事務職、さらには正社員にいつの間にかスライドしているという社内的にもイレギュラーな謎人員だったので、今思うと有難い助言だったと思います。武勲、上げていきたいです。

データ収集体制の運用構築

走行パートナーの皆さんとデータ収集車

短期間ながらも走行パートナーとして働いた経験の延長で、データ収集体制の増強も初期の仕事の一つになりました。
TuringではAIモデルに学習させるための公道の実走行データを自前で収集しているのですが、私が抜けた時点で走行パートナーが1人になってしまい、開発を加速するために規模を拡大することになりました。候補者との面談や車両の調達、メンバーが増えたことに伴う運用整理や安全運転管理者制度等の法規適合などを行いました。現在は6人と6台のチームがほぼ毎日朝から夕方まで関東一円を走っており、データ取得のペースは格段に上がりました。

余談ですが、社内のエンジニアが構築してくれた走行ルートの自動生成ツールの話なども面白いので読んでみてください。

自社工場 Kashiwa Nova Factoryの新設

Turing Kashiwa Nova Factory 外観

これについては以前、会社のテックブログ「創業2年目のスタートアップが自社工場を立ち上げた話」でも少し紹介しました。

2023年の年明け早々、当時のTuringはソフトウェア系のバックグラウンドを持つメンバーの割合がかなり高く、社内に「工場を作る」ということへの知見がほとんどない状況でした。
本当に自分でいいのか?という気持ちがなくはなかったのですが、私が担当する前は機械学習エンジニアでKagglerのいのいちさんが連絡調整なんかをやっていて、いくら何でも人材の使い方として贅沢(もったいない)すぎるのでは…!?と思いながら引き受けました。この頃から「エンジニアのリソースを開発に集中するために、こぼれ球を自分が拾う」というスタンスが確立してきたような気がします。

各種補助金・委託研究への申請事務、官庁渉外

前職で国家公務員をしていたので、この辺りは事務局側の目線で少しは勘所がわかります。Turingは自社EVの量産を実現するまでに最低でも1,000億円規模の調達を達成しなければならないので、公的な追い風や資金援助を得ることは必須事項です。
いずれは大規模な投資の話や踏み込んだ制度改正などの話もしていきたいのですが、目下では事業資金の獲得と実績づくりのため、補助金や委託研究に多数応募しています。現状、あまり勝率が高いとは言えないのでもっと頑張りたいところです。
Turingの場合、サンクコストに縛られず大幅な事業方針転換をすることも多いため、申請時点と採択時点で状況が変わっていることもしばしばあり、既存の制度とスタートアップの時間軸を整合させることの難しさを痛感します。

Japan Mobility Show 2023 への出展ロジ

JMSのTuring展示ブース。連日多くの方で賑わいました

Japan Mobility Show(旧 東京モーターショー)でのブース展示は比較的記憶に新しいところです。

展示内容の企画から運営事務局との連絡・申請、プロモーション映像制作、頒布品のデザイン、展示車両の搬出入調整、委託先との連携に会期中の人員配置検討 等々。これについては「私が全部やりました」と言っても社内からあまり怒られないんじゃないかなと思うくらいには、我ながらよく働いたと思います。
実際には当然、展示車両を作る開発チームがいて、企画をブラッシュアップしてくれる人がいて、不在中のフォローをしてくれる人がいるからこそ成り立っています。そういった周囲のサポートによる安心感もあり、私の仕事は70点、60点、場合によっては30点でもいいから無数の仕事を皿回ししながら、致命的な破綻を起こさないことだと概ね割り切って取り組みました。結果的に会社として最小限のリソースの投入で、現地ブースやメディアを通じて多くの方にTuringを認知していただく働きかけができたと思います。

広報

今年の夏ごろからは、広報・取材対応も担当するようになりました。ルーティーンとしてはプレスリリースの発信やメディア対応、ウェブサイトのアップデートやSNS更新。加えて、動画制作やウェブサイト構築などのプロジェクトもありました。
本職のプロモーション畑の方がこの記事を読んでいたら一度当社のプレスリリースの一覧を眺めてもらいたいのですが、Turingは開発面でも事業面でもニューストピックには事欠かないので、手前味噌ですがかなり面白い広報素材だと思います。

このほか無数に発生する、組織図上の線引きが難しい中間領域のタスクについてはHRの立石さんやCorporateのSaoriさんと、3人のうちの誰かが拾ってどうにかしていく、というのが現在までのTuringです。

何でも屋は必要、でも手放していくことも大事

改めてこの一年間を思い返して、たった1年でTuringの組織体制も随分変わったなぁと思います。例えば車両開発チームは1年前には想像できないほどの速さで増強が進んでいるので、製造の現場を知っている、安全衛生に詳しいメンバーが工場整備を一から担当すれば当時の私の億倍良い仕事ができると思います。
プロモーション業務についても、幸いTuringはディープテック企業として一定の注目をいただいてはいますが、誰向けに・どのようなアプローチで・何を発信して、どういった評価軸で検証するのか?といった広報戦略が十分に整っているとは言えません。

このように「明らかにその分野に長けた人がいる」仕事については、より優秀な新しい人に参画してもらって私個人としては手を放していくべきだ、そういうフェーズになってきたのだと感じることが多くなりました。

一方で、厳しい状況で組織を支えるのは何でもやるやつだとも思っています。
これまでの社会人経験の中で私が思う優秀な人というのは、組織をよく見ていて危険予知のアンテナが高く、自分で手を動かすことができる人です。異常をいち早く察知してパッチを当てられる人がいるかどうかによって、組織の風通しや健全性は大きく変わってくるという持論を持っています。
どれだけ人材が充実したとしても中間領域のボールというのは存在し続けるので、引き続き「何でもやるっす!」と言いながら、他人には譲れない自分の専門領域も積み上げていきたい…ということを考えているこの頃です。

おわりに

現状、Turingはエンジニア採用向けの情報発信が多いこともあり、なかなかそれ以外の働き方というのが伝わっていないのではないか?とこの機会に考えてきたことを書かせてもらいました。
何でも屋を自称する私としては今できる仕事を取り上げられることには怖さもありますが、幸いにもやるべきことは無限に転がっています。

この記事を読んで自分の力が必要とされているのでは?と思った方、採用プロセスへの応募を心からお待ちしています。
毎月複数回開催しているOpenOfficeやオンラインイベントのほか、社員のSNS、カジュアル面談からのコンタクトも大歓迎です。


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