見出し画像

たかが学校されど学校


 ◇カンニング

 大阪の、いわゆる名門私立高校が不適切な指導を行ったとして、自殺した生徒の両親が訴訟を起こす、と報じられた(毎日新聞 3月22日)。
 当該生徒は試験でカンニングが見つかり、叱責の末、処分された。その2日後、自殺しているのが発見された。
 学校では常々、カンニングはひきょう者のやることだと説いてきた。生徒はひきょう者と思われながら生きていく方が怖くなった、と遺書を遺していた。
 学校は、指導と自殺に因果関係はない、としているらしい。
 いずれにしても、痛ましい出来事である。

 

 ◇拍手の意味したもの

 このニュースに接し、半世紀前のあることを思い出した。
 20歳台は大阪に住んでいた。姉の知り合いの子息が、名門私立校に通っていた。成績優秀なクラスメイトが病気で休学することになった。担任が発表すると、自然にクラスから拍手が起きた。順位が上がることを喜んだとしか考えられない。
 姉の知り合いはこの話を聞き、すぐさま息子を転校させた。
 親として、どれだけ心を痛めたことだろう。

 ◇学校がすべてではない

 かねがね、子供たちを取り巻く環境はよくなっていないどころか、悪化の一途をたどっていると思っていた。
 国は子ども家庭庁を設け、子ども中心社会の実現を目指している。つまるところ、少子化対策である。子どもたちの心を歪め、時に自死まで追いつめてきたことに対する反省は、感じられない。これでは、出生率は上がっても、子どもの幸福度は下がり続ける。
 一体、どれだけの大人たちが、今の学校教育に問題を感じていることか。「たかが学校」と悩める子どもには伝えたい。もちろん「されど学校」であることは十二分にわかっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?