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消費者対応


  


 ◇ああ、サプリメント

 大阪の製薬会社が発売したサプリメントによる健康被害が広がっている。
 気の毒に、良かれと思って購入し、飲み続けていたのだろう。有害な成分が含まれていた、とはブラックユーモアをさえ通り越している。

 関係筋から、会社側の対応の遅さ・まずさが批判されている。人命、人の健康をなんと思っていたのだろう。万死に値する。 

 ◇昆虫食

 東京で仕事をしていた頃、飲んで遅くなりホテルで泊まることがたまにあった。朝、空腹を覚える。コンビニでパックになったお粥を買い、事務所でチンして食べていた。
 前々から、小さな黒いものが入っているのは気になっていた。その朝に限り、ルーペで拡大してみた。
 やがて女性スタッフも出社し、「見たくもない!」と、大騒ぎになった。すぐに、食品会社に電話を入れた。担当者が血相を変えて飛んできた。

「はい。おっしゃる通り、虫ですね。ゴキブリの子供か何かでしょうか。持ち帰り、わが社の研究所で調べさせます」
 平身低頭だった。
「これは、ほんのお詫びの印です。同じものではどうかと思い、パスタをお持ちしました」
 TVでしきりにCMを流している商品だった。 

 ◇後の祭り

 その日の午後に電話が入った。
「さっそく、研究所で調べましたが、あれは米の一部でした。なんら害はありません」
 昔、母が米を研ぐ前に、混じっている異物を取り除いていた。多くは穀物などのかけらだったが、中には小さな虫もいた。

「しかし、あなたもルーペで見て『虫だ』と認めていたじゃないですか」
 私は少し声を荒げた。
「いや、私の見まちがいでした」
 人の好い私は、写真に撮ったり、虫の手足か何かを残しておき、保健所に持ち込むなどという才覚はなかった。まんまとして、やられたのである。 

 ◇カエル受難

 昨年、某外食チェーン店で野菜サラダから、足を切断されたカエルが出てきた、とニュースになった。なんと、店のテーブルの上に飛び出してきたらしい。失神ものである。私などはトラウマになってしまいかねない。

 ある局のレポーターが専門家に取材したところ「この種類は全然害はないですよ」という意味のコメントをしていた。

 よくぞ、こんな番組を垂れ流したものだ。見事に核心を外している。
 この種のマスコミは、かわいそうなカエルと違って、もはや、有害でしかない。

 ◇二人の主人

 働く人は二人の主人に仕えている。
 一人はいうまでもなく、会社や役所などの組織である。もう一人は、そういう個人や組織が属する社会である。
 したがって、自分や会社のためなら何をやってもいい、というのは実に「反社」的なのである。

 食品会社の場合も、会社を守ることしか眼中にない。もう一人の主人のことを思えば、対応は違っていたはずだ。なんと「優秀な」研究員、お客様係であったことか。

 日本中が金儲けに躍起になっている。GDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、世界第4位に後退したことで、ショックが走った。ますます、社会がないがしろにされ、軸足を組織に移していくのではないか。そんな心配をしているのは私だけだろうか。


 

 

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