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軍配は気持ちの強い方に上がる

「根性論」というと、昭和の古くて汗臭い、使い古されてダサいイメージがあるけれど、なかなか無視できない真理も含まれていると思う。

それは、テクニックよりも気持ちが強い方が勝つ、ということ。

とくに高度に情報化した社会においては、テクニックは調べればある程度手に入るわけで、あとは、どれだけ強い思いで打ち込めるかが大事になってくる。

よく分かる事例として、3歳の娘の主張することに、私や妻がまったく歯が立たない、というのがある。

たとえば、娘が晩御飯を残したのに、食後にお菓子を食べたいと言ってきたとき、私や妻は「ご飯残したからダメだよ」と言うが、娘は「やだ! (お菓子)たべる!」と一歩も引かない。

しばらく押し問答が続くが、娘は大声で喚き散らしたり暴れ回って、私や妻の心を見事に折ってしまう。そうして、娘はお菓子を頬ばることに成功するのだ。

まさにこれは「気持ちが強い方に軍配が上がる」ことの証左ではないか。

そんな、とりとめもないことを考えたのは、一穂ミチ著『スモールワールズ』を読んだからだ。

短編集なのだが、その中の「魔王の帰還」という短編が特に素晴らしく、私的にベストオブ短編に認定したいほど感動した。(ちなみに、それまでのベストオブ短編は、村上春樹の「カエルくん、東京を救う」だ。)

「魔王の帰還」の作中、気持ちでの勝ち負けが決まることの描写があって、冒頭のようなことを考えた次第。

もし、誰かに勝たなくてはならないとき、なによりも気持ちで負けないことが勝利の決め手になることを心に留めておこうと思った。




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