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【なるほど納得政経塾】-72- 「歴史的国際会議」     神奈川大学経済学部教授 経済学博士 小山和伸

共有された中共脅威論

 2022年6月末に、歴史的な国際首脳会議が二つ続けて開催された。先ず6月26日から28日までドイツのエルマウで開催されたG7であり、次に6月28日から30日までスペインのマドリードで開催されたNATOである。

 この二つの国際首脳会議において、中露の脅威論が西側主要国首脳間で共有されるに至った。特に、日本のNATO首脳会議への初参加によって、中国共産党政権の危険性がアピールされたことの意味は大きい。否、中共の危険性については、日本国内でさえそれが共有されるに至ったのはごく最近に過ぎない。

 多大な人口を抱える未開の中共は、西側諸国にとって半世紀以上もの間、魅力的で広大な市場と見なされてきたし、日本の保守層においては漢文の素養が親中華の心理的傾向に拍車をかけていたと言って良い。

 ところが、中華人民共和国建国から40年目にして、共産党一党独裁の専制国家はその本性をむき出しにした。1989年6月4日の天安門事件である。自由と民主を唱える学生が、軍の武力行使によって約3,000名の犠牲者を出したこの事件を契機に、西側諸国は中共の異質性を思い知らされ、対中警戒外交によって、中共の国際的孤立が進行する。

 こともあろうに、この中共の国際的孤立にあってはならない助け舟を出したのが、他ならぬ日本の宮澤喜一内閣だった。保守層の警告の如く、1992年10月の天皇陛下(現上皇陛下)御夫妻の中共への行幸啓は、ドラマティックに中共を国際的孤立から救ったが、その後彼の国は日本に対して感謝とは正反対の、徹底した反日路線をひた走ることとなる。底抜けにお人よしでナイーブな日本人の技術的・経済的援助が、現在の傍若無人な軍事覇権大国を創り上げたと言うべきであろう。

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