「a.amrita」ー過去制作作品解説と反省②

a.amrita
約11分38秒。

オーケストラという枠組みの中でのブレンドされた音色の模索をすることと、個々の演奏が細かく重なっていくことで生まれるストリーム、個々が一斉に音を鳴らした時に生まれるストリームを表現することを課題としている作品。
前作の「Lunatic Corona」とコンセプトはあまり変わっていないが、さらに音像をぼやかし、アンビエントを構築するような作品になっていると思う。

以下、解説及び反省点を述べていく。


「a.amrita」練習番号2〜4にかけて(弦パート)

冒頭〜練習番号6:
冒頭は、Cdim7♭(9,11)のコードで始まる。
クラリネットに音像の核を置き、ピッコロ、弦、ビブラフォンとシンバルのarcoで周りをぼやかすようなイメージ。

そして、練習番号1から6にかけて、鬼の弦のdiv.が現れる。
BPMは50、3/4拍子。個々が細かく演奏する様子を、同じ空間の中に閉じ込めて俯瞰で見るような感じ。ところどころ出没する打楽器とハープにより、弦は背景となり、ストリームを形成する。

練習番号5から木管、金管で音の束を入れ、練習番号7で一気にまとまる流れを作る。

「a.amrita」練習番号7

練習番号7〜9:
音像が前に出て、ここで初めて「オーケストラ」がなる印象。
変拍子を盛り込み、合奏の緊張感を足す。冒頭の響きをトレモロによって拡大させる。

練習番号10〜14:
練習番号1〜6のストリングスのストリームを縮小させたヴィオラパートが、今度は四方八方のところから楽器の音色を巻き込んでストリングスで一度収束させる。
この部分はヴィオラではなく管でやるべきだったと反省。既出の弦div.の縮小版を聴かせられても……と言ったところである。自分の中の管のデータベースが蓄積されておらず、いつも弦に頼ってしまう。
そしてオーボエから始まる旋律が一度ストリングスを巻き込みながらクラリネットへ繋がり、練習番号15のトゥッティへ入る。

「a.amrita」練習番号15(管パート)

練習番号15:
ロングトーンのトゥッティ。人工的にうねりを発生させるようなアクセントを追加した。
トランペットにワウワウミュートを使うべきだったかもしれないが、それはちょっとベタすぎるかも。

練習番号16〜18:
打楽器のリズムを核に置き、ロングトーンを各セクションに分けて散りばめた。


「a.amrita」練習番号22〜23にかけて

練習番号19〜24:
ピアノを核に置き、オーケストレーションしていく作業。
今までの、コード自体を拡大させたアンビエント構築から、ピアノの音像にフォーカスさせる。またピアノの余韻を拡大させる弦は練習番号15からの人工的なうねりを生み出す性質を継いでいる。

練習番号25:
ピアノの低音をコントラバスで繋ぎながら、核がピアノからヴィブラフォンへと受け継がれる。そのまま高音でオーケストレーションされ、練習番号26へ。

練習番号26〜29:
終結部。ぼやっとした空間の中で、アラームのような音像を出現させ、夢の終わりみたいな雰囲気を出したかった。ファゴットの音は一度弦、鍵盤、打楽器に溶かされ、今度はクラリネットが一定のリズムを持ち出現し、その音像は弦とシンバルのarcoに溶けていく。


次回は「young・bio・galapagos」について解説と反省をいたします。

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