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【みんなは知らない、スーパーの内緒話】

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皆さんが知らないスーパーマーケットの「内緒話」を経営者だった私が公開します!
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#SDGsへの向き合い方

【せっかく潰したのに、余計なことしやがって!】

先代の赤字1.5億円を39歳の若さで引き継ぎ、銀行から融資のハシゴを外されたことをきっかけに様々な改革(もどき)にまい進! ・メインの取引先(仲人)を替えて原価を下げ ・原価割れの特売を止めて売上高より利益率を上げ ・改革に後ろ向きな、先代絡みの親族をすべて解雇して労働環境を改善し ・赤字の店(発祥の本店含む)を閉鎖し ・電気代やチラシの折り込み料、家賃や顧問料も下げ この結果、沈没寸前だった家業の「スーパーやまと」は、社長交代2年目の期末に、わずかながら「黒字経

【家庭の生ゴミ仕入れます!】

私が現役時代に実施したことで、おそらく一番全国的に認知されたのは「家庭生ゴミ」を店舗で回収し、堆肥化の後、野菜を収穫して店舗で売る、という循環型システムを作ったことかもしれない。 ワイドショーで紹介されたり、全国のニュースでも取り上げられて「担当」の私は、取材の対応だけで3ヶ月くらい無休となった(笑) 総務省で表彰されたり報道の影響で、数えきれないほど自治体や企業、学校、議員さん達が見学に訪れ、実際に導入していった。 見学のたび人手不足の弊社の説明係は私が務め、社長に見

【レジ袋を有料化します!嫌です!】

今ではレジ袋有料化が根付いているが、それより15年近く前の2008年に山梨県全県でそれをやろうという動きが起こった。行政主導だったが、そもそもこれまで無料で配っていたものを、お客さんに買わせることで圧をかけて枚数を減らそう!などと言う見下し目線の施策など、絶対に反対だった。 それなのに… 県の担当者がやって来て「何とか環境問題に理解ある社長が先頭を切ってやってもらえませんか🙏🏻」ときた。県内で一番若いスーパーの社長を人柱にして強行実施しようとするのも気に入らない。 私の承

【早過ぎたSDGs】

先代からの大赤字を回復してから、私は「スーパーやまと」を救ってくれた地域への恩返しのつもりで、様々な取り組みを始めていった。 ルールは「本業以外で儲けない!」と決めた。 今更ながら振り返ってみると、その一つ一つは当時にしては「早過ぎたSDGs」と言わざるを得ない (笑)。当時はそんな言葉は聞かなかったし、 環境や弱者対策など当たり前のことだと思っていたからだ。 せっかちな性格の私は、「有言実行」ならぬ「実行有言」タイプで、いつも動き出してから考える。県内で一番若い社長の私

【レジ袋有料化で得た莫大な利益】

私がスーパーを経営していた山梨県では、2008年から全国に先駆けて「レジ袋有料化」を全県で実施していた。 環境への配慮というスローガンに納得がいかず、そもそもお客様から代金(ペナルティ)を取ることによって、マイバッグの持参率を上げようとする試みに賛同できなかったが、県からの強い要請で、嫌がる他のスーパーをまとめて有料化の先鞭をつけた。 環境への貢献はさておき、それまで経費で支出していたレジ袋をお客様に買って頂くことによる企業の利益は莫大なものだった。 当時一枚2円で仕入

【生活根拠者への食料支援〜きずなBOX】

様々な理由で生活が困窮し、日々の食べ物にも事欠く、育ち盛りの子どもがいればなおさらのこと。各地でこの様な困窮家庭を支援する活動が拡がっている。 スーパーやまとでは全店で、支援団体「フードバンク山梨」と協力して、写真の「きずなBOX」を設置した。これは買い物をしたお客さんが会計を済ませた後、支援の品物を入れてもらう取り組みである。 ただ商品を入れてもらうだけでは私の気が済まないので、そのお客さんには別途倍額のポイントをつけてお礼の代わりした。 「支援する人→仲介店舗→困窮家

【大盛り『298円弁当』のからくり】

美味しそうじゃありませんか? 「スーパーやまと」ではご飯も大盛り350gで298円(写真は被災地への義援金付きで300円)のお弁当を売っていました。お昼時には売場に人だかりができ、巡回中のお巡りさんやタクシーの運転手さんもレジに並ぶほど (笑)。年間100万食も売れて単品売上げ3億円!まさに弱者のPB(プライベートブランド)でした。 当時、売上げが低迷していた弊社は、愛知県で弁当が評判のスーパーへ視察に行った。「ウチでも売れないか…」それまでのスーパーの弁当は、10個定価の

【乳ガン撲滅!ピンクリボン自販機】

「頼まれたら断らない!」それが「いの一番」ならなおのこと。私は人が良い(お人好し笑)なので、家庭の生ゴミを集めたり、レジ袋有料化を実質無料にしたり、ホームレス(失礼)の方を正社員にしたり、潰れた店を再生したりと、業界の諸先輩経営者にしてみれば、いちいち気に入らない「若造社長(小僧)」だった。 望むところだ! スーパーのお客さんはなんと言っても女性がメイン、そんなお客さんから「乳ガン撲滅のために協力して欲しい🙏🏻」とのご依頼があった。 シンボルのピンクリボンをデザインした自

【空ペットボトルで小遣い稼ぎ?】

よくスーパーやコンビニの店先に空ペットボトルの回収箱が置いてある。「環境のためにご協力を!」お客さんは「環境のために」そこへ当たり前のように投げ入れていく。30年以上「中の人」だった私は、今さらながら疑問を呈したい(ひねくれ者)。 「キャップは外して中身は捨てろ、できればフィルムも取って、洗ってから潰して出して下さい!」 おいおい、その空ペットボトル、リサイクル業者に売るんだろ? 本来その所有権はお客さんにあるはず、それを売るばっかりにして捨てさせるなんて、どれだけ見下し

【ポイントカードよどこへ行く】

誰のお財布にも入っているであろう「ポイントカード」、スーパーやドラッグストア等の小売店では、購入金額に応じてポイントが貯まり、次回以降の買い物に使えるサービスがある。来店ポイントなどもあり、とりわけ女性客向けにはマストの販促でもある。 200円に1ポイントが付き、イベント時にはそれが3倍や5倍、はたまた10倍にエスカレートし、競合店との差別化をする。当然私が経営していたスーパーでもやっていた。 ✅ちょっと計算してみよう。 一般的なポイント還元の相場はわずか0.5%、20

【商店街との仁義なき戦い】

「社長助けてください!郊外にショッピングモールが開店したおかげで、商店街のスーパーが撤退してお客さんが来ないんです💧」 商店街の若い経営者たちが署名まで集めて私に懇願してきた。 商店街で育った私もなんとかしようと、変な男気から補助金まで辞退してその空き店舗へ出店した。買い物の足を持たない高齢者たちは喜び、商店街にも再び賑わいが戻ったo(^▽^)o →ここで終われば最高にいい話だが…。 意地でも街を活性化しようとして、お祭り・ライブ,トークショー・映画祭を開催、チラシの裏面

【性(さが)】

私が経営していたスーパーでは、教育委員長を務めていた事情もあって、「特別支援学校」の卒業生の雇用を依頼され、毎年採用していた。 天塩にかけた我が子が独り立ちして自分の収入を得る、親御さんにとっては特別な感慨がある。雇う方も「この子の将来が幸せであれ」と願う。 ウチは主に知的障がいを持つ子供たちを採用していた。 スーパーの単純作業なら十分に活躍できるからだ。 「弊社はこんな社会貢献をしています!」などとそれをイメージアップに利用する会社もあるが、そんな野暮なことはしない。

【搾った牛乳を棄てる辛さ】

🐄「北海道の酪農家が搾った生乳を毎日3トン廃棄している」というニュースを見た。需要低迷のため在庫が膨らみ、脱脂粉乳など加工品への転用も難しいという。電気代やエサ代も高騰してコストが合わない。終いには国で補助金を出すから牛を減らせと。 牛乳生産量を減らすために牛を減らせば、一頭につき15万円くれるらしい。米余りの『減反政策』と同じ理屈…💧 👤「それは大変💦みんなで牛乳をもっと飲もう!」 🤞もちろんそれも大切な支援であるが、喉元過ぎればなんとかで、長くは続かない。牛乳の価格