![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44478640/rectangle_large_type_2_1f7e88b8edd685b8de92be53297b11f4.jpeg?width=800)
Photo by
kajimotojiro
三島由紀夫の予言と現代日本
三島由紀夫「果たし得てゐない約束――私の中の二十五年」
二十五年間に希望を一つ一つ失つて、もはや行き着く先が見えてしまつたやうな今日では、
その幾多の希望がいかに空疎で、いかに俗悪で、しかも希望に要したエネルギーがいかに
厖大であつたかに唖然とする。これだけのエネルギーを絶望に使つてゐたら、もう少し
どうにかなつてゐたのではないか。
私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。
このまま行つたら「日本」はなくなつてしまうのではないかといふ感を日ましに深くする。
日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、
富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。それでもいいと
思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。
彼が想定していたのは今から30年前の話。
現代はそれを越えて、「無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、貧弱な、間抜けの、或る弱小国が極東の一角に残らないかもしれない」という局面。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?