YAMATO

書志貫徹、一語一会、書心忘るべからず

YAMATO

書志貫徹、一語一会、書心忘るべからず

マガジン

  • 野球

  • 新海誠〜another universe〜

    銀河でいちばん好きなアニメーション監督・新海誠の研究。深く、一途に。新海誠より新海誠に詳しくなりたい。いつか新海誠作品のパンフレットに寄稿する。

  • 活字アート

    絵画

  • グルメでも美食家でもなく食いしん坊

  • 自己紹介

最近の記事

  • 固定された記事

若者のすべて〜アジアプロ野球チャンピオンシップ2023

2023年は3月のWBCで始まり空前絶後の熱狂を生んだ。野球ファンにとって幸せなスタートとなり、コロナ・ウイルスで闇に包まれた野球界に光明がさした。来年はプレミア12が控えており、3年後のWBCも今から待ちきれない。満腹、大満足の2023年だが、なんと国際大会のデザート、最後のシメが残っていた。 『アジアプロ野球チャンピオンシップ』 初耳の人も多いだろう。WBCに比べて知名度、注目度ともに低く、野球ファンの間でも素通りされてしまう。しかし、"アジチャン"を見ずに令和五年を

有料
180〜
割引あり
    • 黄金週間のベースボール

      みどりの日の意味は知らないが、野球を観るなら深く澱んだ緑のベルーナドームがふさわしい。新宿から西武線に揺られて387円。朝10時50分に西武球場前駅に着くと、抜けるような青空が迎え入れてくれた。 首位と最下位の対決。本塁打王の山川穂高、近藤健介、柳田悠岐。日本を代表するホームランヒッターを擁するホークス。ライオンズはこれといった打者がいない。まんべんなく全員でコツコツとホームランを積み上げる。何もかもが対照のチーム。ただしホームランの数は1位と2位。 バックネット裏5,0

      • 言の葉のプリマヴェーラ

        プリマヴェーラ(春)が深まる5月。藤棚が見たくて言の葉の庭を訪れた。4連休初日。雲ひとつない青空。お日柄もよく、雨を主人公にした映画とは真逆の世界が広がった。9時の開園前から行列。近所のスタバで買ったコーヒーを手にゲートオープンを待っている。 物書きとして独立して半年。毎日アパートと新宿駅直結のコワーキングスペースを往復する生活。会社員時代は深夜や休日にオフィスにいると閑けさが包んでくれた。しかし、今は休みの日も喧騒から逃れることはできない。 アパートで仕事ができればいい

        • 悠久の水墨画

          西荻窪で傘が飛ばされ線路に入ってしまい中央線は30分以上の遅延。新宿駅は列車の到着を待つ人でおしくらまんじゅう。一抹の出来事が大パニックを巻き起こす。仕事に遅れて我先にと人混みを掻き分けるサラリーマン、おばあちゃん。京都に水墨画の雅趣を堪能しに行く自分とのコントラスト。京都は京都で狂騒曲の予感がしてきた。東京駅から9時39分発の新幹線のぞみ。品川ではなく東京にして良かった。自由席の窓際に座れた。この暑さでも富士山の雪は残っている。 京都駅前、市バスD2乗り場から206・20

        • 固定された記事

        若者のすべて〜アジアプロ野球チャンピオンシップ2023

        マガジン

        • 野球
          44本
        • 新海誠〜another universe〜
          13本
        • 活字アート
          8本
        • 8本
        • 自己紹介
          25本
        • 映画
          21本

        記事

          『母の温度』に寄せて

          尾崎豊の奥様・繁美さんの連載コラムを仕事前に読む。毎朝の愉しみである。24歳で夫を亡くした繁美さんは喪失感に向き合う時間もなく、目の前には2歳の裕哉。マスコミから追い回される日々から逃がれ、意思の通じないボストンでの苦闘。子育てという愛のしるしは格闘の軌跡でもある。 noteで読んだ一編『母の温度』は、男兄弟で育った僕に、母娘の関係性を覗かせてくれる。母と娘のキャッチボールを見ているようだ。子は親に抗うことで成長していく。親も子の抵抗に抗うことで親に成長していく。 近況よ

          『母の温度』に寄せて

          そうだ、東京ドーム行こう

          思い立ったが東京ドーム。雨に誘われ巨人vs.中日戦。仕事がひと段落して「そうだ、水道橋いこう」 東京ドームは新宿駅から13分。急にプロ野球が観たくなっても30分で間に合う。平日ならチケット完売はない。2階三塁側20列目、2200円。当日券、一眼レフ無し、球場メシ無し。傘、スマホ、競馬の本だけ持って総武線へ。パッと見てパッと帰る。水墨画の野球観戦。 相手の涌井秀章は37歳。ここまで3試合、17イニングを投げて防御率が脅威の0.00。2試合連続で完封していることになる。去年の

          そうだ、東京ドーム行こう

          この男、度会につき

          3月の球春から11月の晩秋までの9ヶ月間。長いプロ野球シーズンで4月は最も面白くない月でもある。「死月」と言ってもいい。ギアは1速、気候も寒い。レギュラーを選別するための見極め期間であり、シーズン後には2軍にいる新人やベテランも試合に出る。良いスタートを切っても本番は夏以降。その代わり、色とりどりの野球が楽しめる。 今年のベイスターズのスローガンは「横浜進化」。今永昇太が海を渡り、ソトが東京湾を渡ってロッテに移籍した今年の進化はなにか。 今永のあと、ハマのエースを背負うの

          この男、度会につき

          スタジアムからの贈り物

          関内駅の赤煉瓦を背に、数メートル歩くと野球場が見えてくる。ドーム球場が増え「ボールパーク」「フィールド」の名称が次々と輸入された令和。「スタジアム」の呼称はZOZOマリンとMAZDA、そして企業名ではなく地名が残っているのは「横浜スタジアム」だけになった。 企業名が入ると愛称が生まれない。横浜スタジアムは地名があるからこそ「ハマスタ」の愛称が生まれ、球場名から風を感じられる。 昼は赤煉瓦、夜はナイター照明。今の仕事場(新宿壱番街)が全面、赤レンガの壁なので前より親近感が増

          スタジアムからの贈り物

          真夜中のキャンドル〜代々木八幡公衆トイレ

          明治通り、環七通りと並ぶ東京で有名な通り。首都高と並走し、品川区から板橋区までを結ぶ。東京では珍しいほど広い通り。B'zやGLAY、椎名林檎の作品にたびたび登場する。そんな山手通りにあるトイレが『代々木八幡公衆トイレ』である。 映画『PERFECT DAYS』で最も登場回数が多く、最も多くの物語が描かれている。 主人公の平山(役所広司)は代々木八幡宮の苗を持ち帰って育て、死んだ眼をしたOLと並んで昼ごはんにサンドイッチを食べる。 トイレの前には二匹の野良猫。人懐っこく寄

          真夜中のキャンドル〜代々木八幡公衆トイレ

          桜色の夕暮れ〜恵比寿公園トイレ

          夜を待つ公園は寂しさに包まれる。一日を終えるひと、これから一日を始めるひと。夕暮れに霞み、あったかい晩ご飯にワクワクしながら家路につく。令和二年八月に完成した恵比寿公園トイレは行き交う人々と車の黄昏を見守っている。 「無」を凝縮した背中は一見トイレだと気づかない。恵比寿駅から歩いて五分以内なのに、ずいぶんと閑静な公園。お世話になった登山家が上京した当初は恵比寿に住んでいたと言っていた。 夕方五時半、子どもたちの明るい声が飛んでくる。小雨が頭と肩をノックする。雨音が子どもた

          桜色の夕暮れ〜恵比寿公園トイレ

          Qkurt

          東京には"隠れ家"と呼ばれるイタリアンがいくつもある。たいてい駅から離れていたり、住宅街に紛れ込んでいたり。この店は駅の目と鼻の先なのにわかりにくい。灯台下暗し。 飯田橋駅から徒歩5分。住んでいる人すら、こんな路地裏があったの?と驚く秘密結社な場所。おまけに看板がないので初見では必ず通り過ぎてしまう。この洗礼を受けて門をくぐる。 Qkurt(カート)を初めて訪れたのは2023年の12月16日のクリスマス会。外国映画で見るような巨大なテーブルがドーンと1つ。全員が同じ台を共

          用心棒

          日本のプロ野球には「助っ人外国人」の伝説がある。最も有名なのはランディ・バースやウォーレン・クロマティ。いや、アレックス・カブレラの180メートル本塁打かもしれない。李承燁(イ・スンヨプ)とロベルト・ペタジーニがいちばん好きだった。暴れん坊ガルベスや乱闘男グラッデンも忘れてはいけない。巨人ファンとしてはヤクルトのジャック・ハウエルが怖かった。”放火魔”ミセリ、”神のお告げ”グリーンウェルも懐かしい。 1996年9月23日、がんばろう神戸。オリックス・ブルーウェーブのD・J(

          Rookies

          プロ野球における新卒採用がドラフトであり、マンネリ化を防ぐ新陳代謝。坂本勇人がいないと別のチームになってしまうジャイアンツにおいて、フレッシュな顔ぶれは重要だ。巨人は浅野翔吾という球史に刻まれる逸材が入った翌年。どうしても期待が下がってしまうが、とんでもない逸材が入った。 ドラフト3位の佐々木俊輔。帝京高校から東洋大学、日立製作所を経て日本一の野球企業である巨人へ。高校、大学、社会人の三段活用を経た選手では、仁志敏久が思い浮かぶ。身長も170センチ前半という共通点や、関東出

          Open Your Eyes

          プロ野球のオープン戦に来るのは22年ぶりだ。大学入学の直前、甲子園で観た巨人・阪神戦。高校の同級生で入試に受かった3人、不合格で浪人した2人。カオスな面子だった。桑田真澄と星野伸之の投げ合いで、今岡誠(タイガース)のレフト前ヒットを見て「これはすごい選手になる」と言ったら翌年、首位打者に輝いた。 プロ野球の「オープン戦」のなにがオープンなのか?別称で「プレシーズンゲーム」「春季非公式試合」とも呼ばれる。ペナントレースが始まる前の春のゲームを指し、秋の試合は「オープン戦」と呼

          Open Your Eyes

          たったひとりの最終決戦

          1990年10月17日。生き方を決定づけられた。12日後に7歳になる前、この日が人生を産まれ直したバースデーだった。 ドラゴンボールのTVスペシャル『たったひとりの最終決戦』 サラリーマンの悲哀と抵抗、男の死に様を描いたアメリカン・ニューシネマ的アニメ。そんなものを見せられたら6歳の生き方が変わってしまうのも無理ない。会社員になってから「社内不適合者」と呼ばれ続けたのも、たった独りの戦士に憧れたからだ。 孫悟空の父・バーダックは戦争の最中、呪いの拳によって未来が見える体

          たったひとりの最終決戦

          大阪球場物語

          「この球場のいいところを教えて」 「屋根があって雨の心配がないところさ」 冗談のような会話が真実を帯びてしまう。訪れた人は目と鼻の先の甲子園と比較して良いところを探すが、辿り着くのは最初の言葉。 京セラドーム大阪は東京、福岡に続く3番目のドーム球場として1997年に誕生した。6つのリングを重ねた天井は宇宙船に入ったような気分。たこ焼きドームの愛称、スタンドが真円形で、すべての席が二塁ベース後方に向いている。光の照り返しが少なく目に優しい。 パノラマの開放感はあるが、応援

          大阪球場物語