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アメリカの夜

フェニックスで唯一の行動であるチェイス・フィールドまでの散歩から帰る。球場の周りは朝7時から開いているカフェがあり朝食をとろうと思ったが、安いサンドイッチでも14ドル。2,000円を超える。さすがにキツい。

アリゾナでの朝食はタダで何杯でも飲めるコーヒーマシンのみ。ハイアットリージェンシーで一泊は意味ないと思ったが助かった。9時からホテルの目の前のタコベルがオープンしたが早く空港に向かいたい。予定の飛行機に乗れないのは金輪際、勘弁してほしい。

12時33分のフライトまで3時間以上あるが、チェックアウト。空港で昼ご飯を食べて余裕を持ってマイアミに向かいたい。

ホテルの前にタクシーが止まっていると思ったが一台もない。東京のようにはいかない。人生で初めてUberを使う。めちゃくちゃ便利だ。料金が人によって違うが、タクシーと変わらない。ニューヨークを旅行した13年前では考えられないサービス。チップ1ドルもアプリで払える。空港まで10分の運転なので十分だろう。

機械でのチェックインに戸惑ったが係員のおじさんがヘルプしてくれた。お目当ての「エル・ブラボー」を探したが見つからない。仕方なしに保安検査場を通過し、Wendy'sでナチョス・チーズバーガーとポテトSサイズを頼む。辛いチーズバーガーは違和感あるが、味は美味い。日本でもウケるだろう。しかし、12ドル(1800円)は痛い。すでに空港までのUber3000円使っているし、マイアミのタクシーはもっとかかるから今日の食事は終了。機内食が出てくれることを切に願う。

搭乗ゲートは大行列。そんなにマイアミに向かう人が多いのか?日本人はひとりもいない。アジア人すら自分だけ。それでも今回の旅はon timeで飛んでくれるだけで感謝だ。機内の4時間半はつらかった。通路側でトイレが隣なのは助かったが、冷房が効きすぎて寒い。寝ても寝ても時間が経たない深夜バス状態。「日本人」というテーマのエッセイを書いて時間を潰す。Wi-Fiはあるのに日本の携帯が使えないのが痛い。

なんとか無事にマイアミ国際空港に到着。Uberを手配しようとするがカードの支払いを拒否される。チップが目当てなのか、現金で払うのは怖い。仕方なしに2階に降りてタクシーを拾いたいが、なかなか止まらない。白人の係員が欧米人だけ誘導し、明らかに自分を無視して車を通過させる。どこの国でも差別はある。自分で無理やりタクシーを止めて運転手にホテルの住所を見せる。さっきの白人が文句を言ってくるが、負けてられない。タクシーに乗ると係員が「bye-bye!!」と嫌味を言って来た。

21時過ぎにホテルには無事に着いたが、タクシーの運転手が遠いルートで走ったので51ドル(7600円)もかかる。たった15分の距離で高すぎる。渋滞を避けて迂回したのかもしれないが、Uberの倍以上かかった。文句を言えないのが情けない。度胸がない。マイアミの街も暗く、ホテルの場所は周りに何もない。せめてもの救いは球場まで歩いて50分、Uberでも10ドルの距離。

チェックインして4階の部屋へ。モニターにはうれしい歓迎だが、アメニティが何ひとつない。お湯やコーヒーも1階に降りなければいけない。こんなに何もない設備は初めてだ。これでフェニックスより料金が高いって、それはないだろう。外は雨が降り続いている。マイアミの天気予報は3日間ずっと雨。天候次第ではホテルの1階のビリヤードをやることになりそうだ。アメリカを旅するのに単独行はあまりにキツい。タクシー料金もシェアできない。

23時前に寝るが、0時半に目が覚める。フェニックスと同じだ。その雨を見ると気持ちが暗くなる。また昨夜のMLBを観れなかった悔いが押し寄せてくる。せっかく乗り越えたと思ったのに。気持ちを切り替えなければと、頭ではわかっていても心がついてこない。YouTubeを見て気を紛らわせる。飛行機に乗ったときは少しアメリカに慣れたと思ったのに、アリゾナの繰り返し。シャワーを浴びてサッパリするが、夜明けが遠い。アメリカの夜は溶け込めば世界最高のナイトライフだが、慣れないうちはこれほど旅人を不安にさせる闇はない。明日のメジャー観戦はどうなるだろうか。

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