うつ病過去回想⑮「桜咲く」
「動作が遅すぎる、、、」
10年も前に買った家族共有のパソコンの前に座り、私はイライラと焦りを感じていた。ここ最近、目が覚めてからはほとんどパソコンとにらめっこしている。
私は大学受験を諦めていなかった。医者に宣告されたときは絶望にくれた。しかし、どうしても今年中に大学に行きたくて、様々な受験方法を模索していた。
「やっと見つけた、これしかない」
それは、某大学のAO入試情報であった。調べると、出願締め切りまで1ヶ月を切っていた。私は急いで高校に行き、調査書等の出願に必要なものを集めた。
そして両親に言った。
「このAO入試にもし受からなかったら、潔く2浪します。けど、どうしても大学に行きたいです。そのためにあと1ヶ月全力を出させてください」
両親も賛同してくれた。
そっからは怒涛の1ヶ月が始まった。体調を管理するためにジムへ行きながら、過去問を何周もして、小論文と面接の練習をひたすらした。
そしてAO入試当日、午前中に小論文をし、午後に面接をした。
全力は出したが、手ごたえはイマイチであった。
AO入試が終わったとたんに、緊張の糸がほどけ、体調を崩した。
まぁ想定内である。
合格発表はネットで見られるものであった。
昼過ぎに起き、自分の部屋で緊張しながら、合格発表のページへと進んだ。
結果を見た私は思わず泣いてしまった。
走って一階のリビングで待つ家族のもとへ行き、スマホを見せた
スマホのページは、桜で満開だった。
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