五七五七七(ごうひちごうひちひち)
言いにくいので、「七」をできるだけ「なな」と発音する人は多いだろう。よくあるのは「七時」なら「ななじ」と言う。しかし日本文化の和歌や俳句である「七五調」は「ななごちょう」とは言えず「しちごちょう」となる。ほかにも「七転八倒」や「七味唐辛子」など「なな」と発音するとおかしい言葉は多数あるが、近年まで「しち」ではなく「ひち」と思い込んでいた。
近年と言っても十年ぐらい経っているかもしれないが、少なくとも何十年も「しち」を「ひち」だと聞いていたし、そのまま「ひち」としゃべっていて指摘されることはなかった。なぜそうなったのかは簡単で、育った徳島ではそう発音するのが当たり前だった。いわゆる方言である。送り仮名のテストでもなければ気づかなかったのが、何かのクイズ番組で発見してしまった。
「うさぎ追いし」が「うさぎ美味しい」や「ポパイ・ザ・セーラーマン」が「ポパイ・ザ・セールスマン」など、歌詞を聞き間違えることは多々ある。しかし単純な「七」を徳島を出てからもアナウンサーの正確な発音を聞いてもずっと「ひち」だと思い込んでいたのは衝撃的だった。実は「七五調」のもう一方の「ごう」についても目から鱗になった聞き間違いの経験がある。
それは「哀愁のカサブランカ」と混同していた郷ひろみの「よろしく哀愁」だ。「会えない時間が愛育てるのさ」を何度聴いても「愛想が出るのさ」と聞こえて、どう考えても意味が通らず悩んだ。今ならネット検索すればいいが当時は気にせずスルーした方が幸せだ。しかし郷ひろみは還暦をはるかに過ぎても健在でよく音楽番組に出ていて、歌詞のテロップに唖然となった。
郷ひろみは言わずと知れた新御三家で、「男の子女の子」でデビュー後すぐ押しも押されぬアイドルだ。当時中学校の担任が年とってから懐メロ番組に出演して踊れないだろうと授業で笑いを誘っていた。さずがに体は元気でも「男の子女の子」は恥ずかしくて歌わないだろうなと思っていたが、とある番組では歌っていた。「君たち女の子GoGo 僕たち男の子GoGo」。
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