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毎日使うモノには、高い金を払って良いって話


大学生の時に友達が言っていた。

「毎日使うモノは、高いもの買ったほうが良いよ」

どういうことかと思ったが、説明を聞いて妙に納得してしまったことを覚えている。

「10万円のマットレスはさ、高いなって思うけど、10年使うとなったら、全部で3650回寝るわけだから、1日に計算すると27円という数字になるの」

彼は言った。

頭の回転が早い友達の計算に一瞬付いていけなくなるが、考えてみると確かにそうだった。

「27円の支出で、毎日の睡眠の質が上がるとしたら、安いものじゃない?」

そう言われるとそんな気がする。
僕は確かにと頷いた。

「毎日使うモノはそう計算してるんだ。炊飯器も高くて良い。毎日美味しいお米を食べられるし、品質の良いやつを買えば、基本買い替えなくて済む」

確かに3000円の一人暮らし用炊飯器では、予約炊飯もできないほど低スペックだ。

「沖縄旅行に10万円使うのは、バカみたいに思えてきてしまう。3日間で10万円。1日に3万円使って、何も残らないんだよ?マットレスはずっと残るのに」

沖縄に行ったという思い出や経験は残るのだけどと思ったが、彼の重要なものとしては、目に見える確かなモノの価値らしい。ここまでくるとマットレスの信者に見えてくる。

しかし、僕は彼の言っていることに深く共感してしまったのだ。


それから僕は大学生という分際で、5万円の炊飯器と10万円のマットレスを購入した。先行投資であると自分自身に言い聞かせながら、恐る恐るカードを使った。

けれど、確かに炊いたお米は格段に美味しくなった。炊飯器1つでこんなにも変わるんかいって1人で白米を食べながらツッコんだ。

マットレスもふっかふかで、身体にとてもフィットして寝心地が良い。今まで床で寝てたんか?というほど、もうマットレス無しでは、深い睡眠ができなくなってしまう身体になった。

そして何より、購入から7年経った今でもまだ使用している。新作のモノたちは常に販売されているが、今の品質でも十分なスペックだ。買い替える必要がない。

もう慣れてしまったので、当たり前になってしまったが、今日まで少しだけ、質の良い生活が出来たのではないだろうか。

彼の言っていたことは、正しかったのかもしれないなと7年越しに、証明されたのだ。

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