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トレイルランニングとウェルネス④
前回はトレイルランニングによる身体(運動器系)への影響をざっくりと書いてみましたが、四回目は内部である脳と内分泌系に関連したことを述べてみたいと思います。
身体へのアプローチが主な生業ですが、内臓や目に見えないホルモンや神経、代謝の話も大好物です。
では参りましょう。
脳への影響
前回の投稿では外で運動すると記憶の定着が良くなるよー、ということを書きましたが他にも色々と脳への影響もあります。
①脳幹でのセロトニンの分泌
ランニングをするとセロトニンが脳幹で作られる。
セロトニン=通称『幸せホルモン』
つまり、走ると幸福度が増し、主観的な満足度が高まる。
運動すると小脳(細かい運動調節に関与)でのセロトニンは増えないが、脳幹では15%増えていたデータがあるようです。これはトレイルランニングに関わらず。
ちなみに瞬間的な運動(無酸素運動・ウェイトトレーニングとか)は筋のブドウ糖消費が大きいので血中ブドウ糖濃度が減り空腹感を感じやすい。
空腹感=血糖値の降下による反応(視床下部→迷走神経→膵臓、の順で伝わる)
しかし、最近ではケトジェニック(脂肪をエネルギーとして使おうねー)を勧める流れ(生理学的に自然のことなのですが)になってきているので
無酸素運動が全てブドウ糖で賄われる、というわけではありません。
現在研究が進められている分野です。(今度noteに書きます)
②前頭前皮質の肥大
前頭前皮質は前頭葉にある部分(おでこから少し上のあたりにかけて)
前頭前皮質の役割=計画、理性的思考など高度な認知機能、ポジティブな考え、豊かな感情
わかりやすく言うと「人間らしさ」を司る部分
ランニング中に増えた酸素の一部は運動野、前頭前野(前頭前皮質)ニューロンでも使われているようです。下記の③とやや被りますが、瞑想を取り入れる禅僧はこの前頭前皮質部分が数ミリですが一般平均よりも分厚くなっているようです。
走る→酸素の摂取量が増える→脳へ刺激→前頭前皮質が肥大→人間的に豊かになる
こんな流れでしょうか。
③ランニングと瞑想の脳波の一致
走るときの単調な足踏みは脳の意識を低下させるように働くのでじっとしているよりも瞑想状態に入りやすいようです。
トレイルランニングは単調か?と言われると疑問ですが、運動内容で分けると同じカテゴリーに入るかと思います。
瞑想状態を脳波で言うとθ(シータ)波。
意識がぼんやりして思考力が低下している状態です。
走るトレイルによってはぼんやりできるわけがないです。明らかに危険そうな場所もありますので。
その際は脳波で言うとγ(ガンマ)波やβ(ベータ)波の状態。興奮、集中状態です。
ランニングを習慣としている禅僧がランニングの後の陶酔状態と瞑想の極地の状態と似ていると答えた。(リリフォーズ、1978年)
つまりはランニングをすると瞑想時と同じθ波が出る、ということ。
ここからは推察。
この禅僧はランニング「後」と答えているのでランニング中はおそらくγ〜β波で推移(=運動で興奮状態)していると思われます。
人間は自律神経(=交感神経と副交感神経))で興奮と安静のバランスをとっているので
運動で興奮する(脳波が激しくなる)
↓
運動を終える
↓
心身の状態を中間に戻す(回復させる)ため、脳波をゆっくりにする
↓
α、θ波のようなリラックス脳波になる
この流れでヒトは「スッキリした」「リフレッシュ」「気持ちいい」と感じるのではないかと思います。
で、通常のロードのランニングでこれなので、もっと激しいトレイルランニングだとこの脳波の振り幅が大きくなります。
イラストのような振り子をイメージするとわかりやすいかと。
物理学もカラダも基本の考え方は同じです。行き過ぎたら反対側に振れる。
激しく興奮状態になることで終わった後(またはロングレースの夜間パート)に激しく安静状態(場合によっては熟睡するδ(デルタ)波)になる、ということ。
激しく動けば、その反動で激しく休む。
それがリフレッシュ・気持ちよさ・楽しさに繋がるので競技者数が増えているのではないかと思います。
まとめ
①でセロトニンが出て幸せを感じる
②で前頭前皮質が厚くなり人間的に成長する
③脳波の反動でリフレッシュする
こんなところです。
トレイルランニング最高だぜ!とりあえず走ろうぜ!
と言いたいので理由づけてみた、という感じでしょうか。
次回はロードのランニングではあまり関与せず、トレイルランニングに大きく関与するある「ホルモン」に着目してお話しようかと思います。
続きます。
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