インスタント恩師
高3の初夏、友人に誘われ近所の大学の学祭に行った。彼はその大学に知り合いの先輩が何人も所属しており、ちょこちょこ挨拶をしていた。傍から眺めながら自分の人脈の狭さを恨んだが時すでに遅し。
けずりイチゴを食べたりしてなんだかんだ楽しんだことを覚えている。縁石に座りゆったりしていると、近くの模擬店で手羽元を売っている男性。見覚えがある...。なんとなく...。うっすらと...
思い出した。中学生の時通っていた塾でバイトしていた人だ。よくよく考えれば結構お世話になった方の人だ。忘れかけてた。あぶな。あわや薄情者。
声をかけたい。基本人見知りのくせにこういう時は声かけたいタイプ。覚えてなかったらどうしよう。塾講師のバイトで3年前の生徒を覚えているだろうか。そもそもなんて声をかけよう。
お久しぶりです、はリスキーだ。は??なんて言われた日にゃ。ですよね!とか言っちゃいそう。僕のこと覚えてます?、はクイズ過ぎる。急に知らん奴からクイズ出されるなんて。街頭インタビューか宗教勧誘か。
あの...3年くらい前○○○(塾名)でバイトされてました??
これがひねり出した答え。結局不審者。まぁ1割くらい、もし似てるだけの他人だったら?とチキったのは否めない。結果から言うとめちゃくちゃ覚えてくれてた。
その方はラクロスをやっていて、いろいろ話した思い出がある。失礼ながら当時の自分はラクロスがマイナーめのスポーツだと思っていた。(クソ失礼にも程がある。略してクソニモ。)ラクロス、カバディ、セパタクローみたいな並びだと思っていた。(全部にクソニモ。)
ラクロスのキーパー的ポジションはゴーリーと言うらしい。いやゴーリーって。そんなわけあるかい。ゴーリーなんて名前があってたまるかい。中3の頃の僕はそれで腹がよじれるほど笑っていた(これもクソニモ)。あの頃よじれたお陰で腹斜筋がバキバキです。範馬勇次郎。
そんなこんなでちょっと仲良くなった。僕が受かったら何かプレゼントくださいよ!あげるか!みたいな会話もしてた。我ながらずうずうしい。(ZUUZUUSII。ずうずうしいって打つ時のUの割合えぐいって。UUUMやんこんなん。)けどその人も意外と漢気を見せてくれてまぁ受かったらなんかあげるよって言ってくれた。
合格発表の日に塾でお疲れ様会があった。そこにその人は来れなくて、残念だなぁ、最後に挨拶ぐらいしたかったなぁと思っていた。すると他の先生が、「△△(僕)君、◇◇先生(その人)に△△が受かったら渡してくれって荷物預かってるよ。」
まぁなんということでしょう。その人は約束を守ってくれたのです。すごい漢気。ちらりと覗くとサムライラクロスの文字。おや?開けてみると侍がクロス(ラクロスと言えばのあれ)を掲げているTシャツだった。いやここでラクロスかーーーい!伏線回収すなーーーー!ありがとうございまーーーーす!
時は高3に戻る。覚えてくれていたはいいものの、何を話そう。そこを考えてなかった。そうだ、あのラクロスTシャツの話をしよう。
あのもらったラクロスのTシャツ今も大切に持ってます、大切に寝巻きにしてます!
おい寝巻きにだけはすんなよ!!!
売ってた手羽元、友達の分もタダでくれました。美味しかったです。ありがとう加藤先生。
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