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うっせえ、俺が「世界観」だ。 _#9 侵略 (やぶる)

#だからそれはクリープハイプ
更新日: 2023/04/10


#9 侵略 (やぶる)

「ロックバンド」と「友人関係」は続いた方が良い。また、かの有名なロックバンド、ローリング・ストーンズの話になるが、彼らは長いキャリアの中、楽曲は時代に合わせて洗練され、今も愛されるバンドとなっている。同じ曲でも時代ごとに輝いており、とても格好いい。クリープハイプもそうだ。時々リリースされる昔の音源も、カップリングとしてリメイクされて出るインディーズの曲も、どちらも心地の良い、唯一のものとなっている。人間関係もそうらしい。続けば続くほど親密になる機会を得やすくなるし、互いに変化の機会を得る可能性が高くなる。

浪人期を過ごすと、一人で過ごすことに慣れてくる。わざわざ誰かと一緒に何かをしようという意欲は湧かなくなってくるのだ。クリープハイプとの距離も置いてしまった。僕の世界観は「世界観」一色だったというのに。しかし、相変わらず、邦楽ロックバンドはクリープハイプしか聴けない体だった。それで、海外のギタリストを中心に興味を持つことになった。しまいには、ジャズを聴くのである。意図せず、例のTwitterの女の子と同じ結果になっているのだ。

尾崎さんの小説を読むことになる。この本が、書店の文芸ではなく、音楽雑誌と同じ棚に置かれていることは違和感があった。かなり広い意味で、言葉の並びは音楽かもしれないが、やはり他のアーティストの文章とは、何か違ったのである。あの引っかかって取れない生々しい内容は、当時理解出来なかったが、理解出来なかったからこそ、そう思ったのである。後に、文庫が出版されたらしい。

大学生も中盤、憧れの女性が出来た。その恋愛模様について書くのは、このテーマからはずれるため割愛する。なんだ、割愛って縁起が悪い漢字だな。さて、彼女は文学部で、小説も執筆していた。僕の趣味が音楽であることは当時も変わりがなかった。すると、どんなアーティストを聴くのかという話題になる。気品のある彼女の口からは、クラッシックや音楽的教養が求められるような曲の名前が出てくる。その内容は想像するに難いものであった。同様に、小説家についても話題になるのだ。この時、彼女の口から「尾崎世界観」の名前が出た。彼女の口から。


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