写真と眼

美しい景色をみる。写真を撮ってみる。

あとでその写真を見返してみると、なんだか違う。

人間の眼と写真のレンズは全く別物。私たちは都合の良いものを切り取るけど、写真は全てを映し出す。見なくても良い場所がないんだ。だから画像を見て、自分の眼とのギャップに驚く。私は今まで何でもかんでも写真を撮るのは好きじゃなかった。そんなん撮ってる暇があれば、匂いを、音をあらゆるものをその身体で感じろよ、なんて。

でも今ふと思ったんだ。自分の美しいと思ったものが必ずしも機械を通すと美しいとは限らないんだったら、機械が私たちを見えていないもの全てを映し出すんだったら、写真の可能性って実は私の思っている以上に大きいんじゃないかって。

「美しいと思わなかったものがレンズを通してみると綺麗に見える」

そういうことって普通に起こり得ることなんじゃないかな。普段から写真をよく撮るひとは、何そんな当たり前なことって笑うかもしれない。でも私にとってこれってすごく衝撃的なことだったんだ。

今まで適当に見ていた空が、

汚いと思っていたほこりが、

そんなことも考えず視界にさえ映っていなかった何かが、

機械を通すと不思議と美しい。

そう考えてみると、なんだか外に出たくなった。どうでも良いものを撮ってみたくなった。見えている景色は有限だ。レンズが全てを写すなら、新しい何かを知れるはず。そう思った金曜の午後３時。