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なぜその棚を調べないのだ -プレイスタイルからわかる性格-

昔から自己紹介が苦手だ。
理由は二つ。

一つ目は、僕の話を聞くみんなの顔が怖いから。真剣に聞いてくれているからなのだろうが、真顔が一斉にこっちを向いているのは結構キツい。
「俺の話、あんまり面白くないのかな」ってだんだん心配にもなってくる。
最初に軽い笑いでも入れてみたらどうかと思うけれど、外した時のことを考えると恐ろしくて、とてもじゃないが実行できない(前日の布団の中では大爆笑を勝ち取っているのだが…)。

二つ目は、僕は自分が思っているほど自分を知らないから。
僕は自分のことを“これと言って特徴のない人畜無害な生き物”だと思っているのだが、ある人に言わせると「なんかワールド持ってる人」らしいし、別の人から見ると「心の奥底で何かが燃えたぎってる人」らしい。
要はアクが強いとか、クセがあるとかそう言うことなのだが、ここまで認識がズレていると恥ずかしくてたまらない。

だからできるだけ自己紹介をすることなく暮らしたいのだが、生きている限り人との出会いは無くならないし、定期的に自分という生き物を見つめ直すためにも、自己紹介はやった方がいいと自分を無理やり納得させている。

とは言っても、自己分析をするのはなかなか手間だし、どれだけ冷静にやろうと思っても、多少は盛ってしまうものだ。どうやったら自分という生き物を正確に把握できるだろうと悩んでいたのだが、僕の場合はゲームを使うのが有効だということに気がついた。

そのきっかけになったのが、息子たちとの協力プレイだ。彼らが小学生になってから一緒にゲームをするようになったのだが、テレワークで時間が増えたこともあって、ほぼ日課のようになっている。もともと僕はゲームが好きで、子供ができたらキャッチボールよりもマリオカートをやりたいと思っていたから、もう毎日が楽しくてたまらない。
ところが、僕と子供たちは当然別人。それぞれ個性を持っているが故に協力プレイをするとイザコザが絶えないのだが、これを読み解いていくと、自分だけでなく長男や次男の性格も見えてきて実に面白い。

例えば、Nintendo Switchに「ルイージマンション3」というゲームがある。主人公はマリオの弟ルイージ。オバケを吸い込める不思議な掃除機を使い、行方不明になったマリオたちを探すためオバケの住み着いたホテルを探索するゲームだ。
これは結構ハマったゲームなのだが、そのプレイスタイルは三者三様で、楽しくケンカしながら進めた記憶がある。

一番揉めたのは部屋の探索方法。
僕はとにかく完璧を求めるタイプ。一部屋一部屋、アイテムの取りこぼしはないか、隠れた仕掛けはないか、徹底的に探索する。さっき僕は自分を”人畜無害”なんて書いたけれど、これだけで嘘っぱちだとわかる。この徹底した鬱陶しい姿勢が「ワールド」とか「燃えたぎる」といった言葉の正体なのだ。

続いて長男。彼は隅々まで探索しようとするところは僕と似ているが、興味を持つ領域が僕に比べてだいぶ狭い。照明器具に例えるなら、僕は部屋を隅々まで照らす室内灯で、彼はサーチライトだろうか。
だから彼は自分の中で「もういいや」となったら部屋の探索をやめてしまう。そして燃えたぎった僕から、「おいお前、そこのタンス開けたか?」とか「なんでその棚を調べないんだよ!」といった檄が飛ぶことになる。

けれども、ハマった時の彼の集中力は凄まじい。彼は工作が好きなのだが、いつも工作用紙を使って何かを作っている。コツコツと、何年もかけて作り続けた作品の数は100や200どころではない。子供部屋に置けなくなった作品は屋根裏の収納部屋に持っていくのだが、今のペースだとここも作品で埋まってしまいそうだ。浅く広くがモットーの、器用貧乏の僕にはとても真似できない。これは素直に尊敬するところだ。

最後は次男。彼はまだ小学1年生なので仕方ないのだが、プレイするよりも、安全なところから指示を出したいタイプのようだ。僕や長男がプレイしているのを見ながら、「その絵が怪しい」とか、「右上の方に行ってみてよ」とか言ってくる。
ただ、時々興奮を抑えられなくなるのか、「ここだよ、ここ」とテレビの前に出てきて、「そこ邪魔!」と二人から激しいツッコミを受ける。

この控えめだと思わせておきながら、いきなり熱くなるのが次男の特徴だ。
「ゼルダの伝説 BotW」を三人でやったときは、僕が「ボスと冒険に詰まったとき担当」、長男が「謎解きとザコ敵担当」だったのに対して、次男は「謎解きサポートとお料理担当」だった。
まだ小学1年生だしな、敵と戦うなんて怖いよな、なんて軽くみていたのだが、あるとき軽々とライネル を倒していておったまげた。こいつは作中でも最強クラスの敵だぞ。いったい何が彼を駆り立てたというのか…。

ライネル

これは憶測だが、次男は人よりも失敗を恐れる傾向があるのかもしれない。
例えばマリオカート。長男は一番優しい50ccをクリアすると、次は100ccにチャレンジして、これもクリアすると150ccに、と次々と挑戦していく。これに対して次男は、50ccをクリアしても100ccには挑もうとしない。ちょっと100ccを試して、さっきより難しそうだなと感じるとすぐやめてしまう。で、延々と50ccで遊び続けるのだ。

けれどもそんなの面白いはずがない。だって100ccや150ccに挑める能力を持っているはずなのだから。ずっと「こいつは勿体ないなぁ」と思いながらも、でもこれも彼の個性なのだからと余計な口出しはしないでいた。そしたらいきなり上に書いたライネル 退治をやってのけたのだ。

だから僕は「お前すごいな!」って心から褒めたのだが、どうやら次男はこれが嬉しかったようで、しばらくの間ライネル 退治ばかりしていた。何だ、こいつ高いポテンシャル持ってんじゃん。おだてたら木に登るかな?

まぁこんな感じで、今日もゲームやってます、はい。

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