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全校選抜おにごっこ(2024.05.22)

就寝前に長男の話に耳を傾けた。長女はとっくに力尽きており、次男は薄暗い部屋で天井を見上げていて、今にも目を閉じてしまいそうだ。

私が話を振る前に、長男が話し始めた。

長男「今日、中休み(昼休みのこと)で鬼ごっこをしたよ。最後まで逃げ切ったよ」

私「何人でしたの?」

長男「40人」

私「多いな!どんな面子?」

長男「3組(長男のクラス)から5人、2組から7人、1組から28人」

私「1組多いな!逆に1組の残りの人たちは何してたの?」

長男「しらん」

私「そらそうか。3組の残りの人は何してるの?」

長男「別の鬼ごっこしてる」

私「なんそれ?」

長男「僕たちは『増える鬼』で、そっちは『変わる鬼』なんよ」

つまり、長男が通う小学校では鬼ごっこがめちゃくちゃメジャーな遊びであり、流派によって所属する団体が違ってくるようなのだ。生け花で言う池坊と草月流、絵画で言う印象派と写実派、カメラで言うフィルム派とデジタル派の違いみたいなものだ(ちがうか)。

確かに「増える鬼」と「変わる鬼」ではその面白さの質において明確な違いがある。「増える鬼」は、まるで町がゾンビに侵蝕されるがごとく、追い詰められる危機感や緊張感が味わえるだろうし、最後まで残ればその優越感は相当なものだろうと思う。

逆に「変わる鬼」は、とにかく「鬼」にならないように逃げ続けるという、極めてシンプルでストイックなルールだ。鬼が一人だから戦略や戦術などはあまり意味をなさない。とにかく足が速ければ、体力があれば良いのだ。

そういう「棲み分け」がなされている長男の小学校における鬼ごっこリーグ。これらリーグのさらに上位に、偶発的に開催される「全校選抜鬼ごっこ」なるものがあるらしい。これは前もって大々的に告知があるわけではなくて、多分生徒たちの地下のネットワークを使って秘密裡に連絡される類のものであると思うのだが、これまで長男が知っている限り2回開催されており、幸いにも長男はそのうちの1回に参加する事が出来ているが、結果はさんざんだったらしい。

そしてその全校選抜鬼ごっこではやはり6年生の生徒が優勝したのだが、4年生以下の学年で目覚ましい活躍をした「シュン」と「カナ」という上級生がいるらしい。かっこよすぎる。まるでポケモンにおけるカロスリーグやホウエンリーグのチャンピオンみたいである。

いつか伝説の鬼ごっこマスターみたいにうちのケンがその中に名前を連ねる日が来れば来たらいいなと思う。

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