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プロダクトドリブンの組織開発とは?

はじめに

自己紹介

皆さん、こんにちは。山中 裕貴と申します。
株式会社HRBrainでEX Intelligenceの立ち上げ(企画設計・分析設計)から顧客の組織課題の解決を行うEXサーベイグループのマネージャーを担っております。
また2024年4月から、組織サーベイに留まらず全社的な組織課題の解決に向けたHR Strategyという新規事業の責任者を務めております。

本記事を書くに至った背景

いまはタレントマネジメントや従業員サーベイという領域は日本において多くの企業が関心を持たれる領域となり、それに呼応して多くのHR系の企業が様々なプロダクトをリリースしています。各社各様の課題意識があって作られたものであり、それぞれに特徴があって素晴らしいものであると思います。
そのような中でEX Intelligenceという組織サーベイには、どんな思いを込めてプロダクトを創ったのか、そしてどこへ向かいたいと思っているのかについて共有できればと思います。そしてそのような話をする中で、プロダクトドリブンだからこそできる組織開発の姿について触れられればと思います。

EX Intelligenceに込めた想い

「正しいことが本当に正解ですか?」

私は以前はコンサルティング会社に所属しており、コンサルタントとして様々な顧客の支援をしておりました。高い期待と、それに見合うような高い金額をいただいておりましたが、その際に必ずといって良いほど意欲的な顧客にいらっしゃいました。上席に限らず担当者レイヤーとも個人的に飲みに行き、その会社の未来を語り合うなど非常に楽しい時間を過ごしていました。これで組織は変わっていくんだと本気で思っていました。

ですが、そんな折りに考え方を変える出来事に遭遇しました。
それは意欲的だった顧客が現場へ異動した後に、全社の課題解決に奔走していた時と現場の温度差に落胆したり、現場から除け者にされて退職されたという話を複数人から伺ったことです。
つまり全社の課題解決のために描いていた「理想」や「正しさ」は現場では通用しなかったということです。

「人は善なり、ただし弱し」

より良い組織を作るためには管理職の協力が不可欠です。そのために管理職に対して様々なテーマ(正しさ)が提示されています。心理的安全性、D&I、キャリア支援、エンゲージメント…など枚挙にいとまがありません。それらを新たな「正しさ」として、現場の管理職に付与するべく研修やフィードバックが行われたりしますが、上記の通り浸透するケースは非常に稀です。これは何故なのでしょうか?

個人的に答えは「現場には現場の正しさもあるから」だと思っています。
下図の葛藤構造にあるように、複数の理想が存在する時に行動が阻害され、慣れ親しんだ理想が選択されてしまいます。

新たな「正しさ」が受け入れられない理由

組織が自ずと目標達成することができる場合には、そういった「全社視点の理想的な行動」を積極的に行うと思います。一方、どれだけやっても仕事が終わらなかったり、目標を達成できない場合には、「全社視点の理想的な行動」は即座に後回しにされてしまいます。

「組織状態を良くしたくない」と考える管理職はいないと思います。むしろ「組織状態をよくできる状況にない」と考える管理職は非常に多いと思います。つまり組織をより良くするための課題解決や行動変革は「やらされ感」を伴い、いかに片手間でやるかが現場における正解となってしまいます。

そのためEX Intelligenceを立ち上げる際には、このサーベイの結果を見たら現場の管理職が思わず課題解決したくなるような「正しさ」だけでなく「楽しさ」を大切にしたプロダクトにしたいと考えていました。

EX Intelligenceを通じて実現したい提供価値

課題解決と楽しさは繋がらない方も多いかと思います。それは「課題」というものが基本的に自分の不出来と繋がっており、他の事情がある中でも変えることを強要されることが多いことにあると思います。

どうすれば課題解決と楽しさと繋げることができるのかは、下記の3つが重要であると思っています。
①自ら考え、行動できること

 だれかから結果を押し付けられず、自ら結果を読み解くことができる
正しさの押し付けがないこと
 思想などで一部分を切り取らず、現実を先入観なく記述できる
良くなったことに気づけること
 できてないことだけでなく、良くなったことを知ることができる

「認識すること」よりも「行動すること」

特に③が重要で、脳内ホルモンのドーパミンは「これしたら、こんな良いことが起こるかも?」と期待を持てるときに最も放出されます。とある改善策を行うことで、従業員の体験が変わり、スコアが改善されるかもと思えることが動機づけに最も好影響をもたらします。

サーベイの構造が複雑だったり、抽象的であると、こういった期待を持つことはできません。さらに「やらされ感」が助長されてしまいます。
また人が最も行動が促進されるのは、「それをやる意義は…」など動機づけや意味づけによって、正しい認識に矯正することではありません。むしろそれをやったほうがいいことは百も承知です。

「行動を起こすことで、何か良いことがあるかも!」と思えるためには何が重要なのでしょうか?
それはどんなに小さいことでも行動に移してもらうことです。
そして行動の結果がサーベイの結果に表れ、「じゃあ今度はこんなことをしてみようかな、そしたらもっと良いことがあるかも…!」と行動を起点に課題解決と楽しさが紐づき、組織改善のサイクルが根付いていきます。

つまり組織改善を実現するためには、高名な誰かが何かを話すことではなく、企業の隅々に至るまで「改善行動をすることで良いことが起こるかも」と日常的に思わせることができるプロダクトこそが必要なのです。

EX Intelligenceの向かう方向

これらの基本的な考え方をもとに、改善が進まないエンゲージメントサーベイに対して新たな考え方を提示していきたいと思っています。

また基本的なサーベイの取得だけでなく、様々な属性軸での分析や多種多様なアナリティクスを用意するなど、多くの人が自ら組織の現状を捉え、解決方法を検討できるような方向性を目指しています。

タレントマネジメントというプラットフォームのデータを活用することにより課題解決を進める管理職の不安や懸念を取り除いたり、AIやデータアナリティクスを活用することで管理職とシステムが相談に乗る未来でさえあると思っています。

また今後エンゲージメントの測定は、今では組織の現状を可視化するだけのツールに留まってしまっています。ですが、エンゲージメントを定性情報である人の認識を定量化できるツールであると捉えると、今後は要員計画や人的ポートフォリオの実現に始まり、離職防止や育成、サクセッションプランや最適配置など、より高度な活用へと繋がっていく架け橋です。

事業成長も戦略実行も、最終的に全て行うのは「人」です。
プロダクトに関わる全ての人が「心おどる課題解決」を通じて、その組織にいる全ての「人」が活躍できる組織、ひいては企業を実現することを目指して参ります。

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