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『賢い人の秘密』賢者の思考法その4(実体)
はじめに
ここまで推論という分かっていないことを推測した上で、議論するための方法論の3つ(演繹・帰納・類推)を説明してきました。これらを目的に合わせて巧みに使い分けができるようになれば、ロジカルポケモンとしてかなりのレアモンスターになれるようになります。
ですが、この3つを超完璧に使いこなせるようになったとしても、ペテン師と言われてしまうリスクがあります。
ビジネスにおいて話をしている際に「そういうことが聞きたいのではなく…」と言われる人が多数います。アポイントに同席していると、「あー話がずれているなー」とか「これは相手の聞きたいことにジャストミートしてないなー」とかすぐに分かります。
3つの強力な思考のためのツールを使いこなすために必要な問いが3つあり、そのうちの1つ目が「実体」です。
この本の立ち位置は
なぜ賢者の思考法としてアリストテレスに着目しているのかについては、『賢い人の秘密』賢者の思考法その1(演繹)の内容をご確認ください。
実体とは
本日のアウトプットである「実体」とは何かというと、知ろうとしていること・議論しようとしていること(対象X)がどんな属性を持っているのかを考えようということです。
対象Xは「物」か「観念」のどちらかに分けられます。「物」はコップとか車とか実際に触ることができるものであり、様々な器具を用いることで測定ができる対象です。
一方で「観念」は法律とか思想・主義などの実際に触ることのできない、頭の中のものであり、完全に認識を一致させるということは非常に難しいものです。
例えば、ビジネスにおいて「充実したサポート」と聞いたときにどのようなものを想定されますか?質問や連絡をしたら返答してくれること?使い方の説明や自社向けのカスタマイズの仕方を教えてくれること?訪問して対面で打ち合わせを組んでくれること?事業を営んでいると様々な「充実したサポート」像と出会います。そしていかにすり合わせたつもりでも、すり合っていないことが多いのも事実です。
実体のない「観念」に対して最大限すり合わせをするためには、相手の意見や考えをきちんと吸い上げる必要があります。上の例でいえば「過去に使っていたサービスではどんなサポートがされていましたか?」「どこまでサポートがあれば安心だと感じますか?」などなど意見や考えを形成するであろう要素についてちゃんとお話ししていただかない限りには、確実にずれます。
なので「それは何か?」という問いを立てることによって、相手と自身が認識している対象Xに関してのズレがないかを確認することが重要です。
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(内容をもとに自身で作成)
賢くなるための”実体”とは
前段でかなり話をしてしまいましたが、まず「それは何か?」という問いを自身に対して立て続けることが重要です。その問いが立てば、認識がずれていると感じた際にすり合わせるための質問をすることができるようになります。
そしてもう一つ賢い人が認識している「実体」に近づけるためには、解釈の仕方は一通りではないということを常に頭に入れておくことです。
自分の考えてくれている通りに相手が考えてくれている確率なんてものは、ほとんど有って無いようなものだと思った方が、コミュニケーションは圧倒的にスムーズになります。
ビジネスにおいて業務を型にするのは非常に重要ですが、「Aと聞かれたらBと返す」だけでは、認識のずれを是正することができません。型があるのであれば、それをベースに認識のズレがないようにチューニングをしていくことが重要になります。
常に話に上がっている対象がズレていないかを確かめながら、物事を進めていきましょう。
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