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いかなごのくぎ煮振興協会と「くぎ煮」の定義〜いかなごの「くぎ煮」その7〜

地域の食文化いかなごの「くぎ煮」。
その商標をお預かりしている以上、「くぎ煮」の商標の利用を適正化したいという思いが強くあります。

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最近もいかなごが獲れず、危機的な状況にあります。
2020年のいかなご漁は、過去最悪、大阪湾は3日で終漁となってしまいました。
そんな中、兵庫県以外の「いかなご」を使用して「くぎ煮」として販売する企業もおられます。
「いかなごの佃煮」ということであれば、なんら問題はないのですが、それを「くぎ煮」と呼んでいいのでしょうか。

瀬戸内海で獲れたいかなごを、漁師さんが家庭料理としてつくっていた「くぎ煮」。その炊き方講習会を1980年(昭和55年)頃から神戸市の婦人会のみなさんが実施し、それまで「商品」として見向きもされなかった鮮魚としての「いかなご」を小売店で売れる商品に育てたという歴史があります。

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「パッチ網」を使った船曳網漁という漁法で、鮮度を保ったまま水揚げし、競りにかけ、その日のうちに炊き上げる。

家庭で炊かれる皆さんもいかなごの「鮮度」にこだわり、クーラーボックス持参で行列を作ったりされています。
そんな背景がある、地元のいかなごで作った地域の食文化「くぎ煮」にこだわりたいのです。

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そこで「くぎ煮」の定義を考えました。

「くぎ煮」
兵庫県の瀬戸内海側の漁師町で始まった郷土料理であり、播磨灘から大阪湾にかけての海域で、船曳網(パッチ網)を用いた漁法で獲った兵庫県産の生のいかなご(冷凍は不可)を、兵庫県内において醤油・砂糖・生姜等と共に煮詰めて加工した保存食

漁協さんとは若干の意見の相違があり、まだ確定はしていないのですが、協会としては、このような定義ですすめたいと考えています。

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前回のnoteでも書きましたが、「くぎ煮」の定義を明確化し、ブランドを管理したいと考え、2007年(平成19年)2月に設立したのが「いかなごのくぎ煮振興協会」です。
きっかけはweb site「くぎ煮.JP」の開設とそれのコンテンツ「くぎ煮検定」(登録商標)の設置です。

くぎ煮を盛り上げるイベントや、web siteをいち企業が運営する、ということに違和感を感じたため「協会」を設立して伍魚福が事務局、私が事務局長を務める形とさせていただきました。

いかなごのくぎ煮振興協会は現時点では会長不在で、私が事務局長として職務を代行している形になります。
地域の関係者の皆さん全員がWIN WINとなる、「くぎ煮」のブランド管理ができるよう、調整を進めたいと考えています。

そもそも、「いかなご」が獲れなければどうしようもない、という部分もありますので、協会メンバーを増やす活動は現在行っていません。

最近の調査によると、いかなごが獲れないのは、海がキレイになりすぎているから(栄養分が足りないから)という説が最有力となっています。
このため、下水処理の濃度を調整する等の動きが行政でも進んでいます。
いかなごが豊漁になる日がくることを祈っています。

明日のnoteからいかなごの振興に関する取り組みをご紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan