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漁船の構造の変化・漁業における兼業の実態(令和元年度水産白書より)

本日は、水産庁のまとめている、「水産白書」から「漁船の構造の変化」、「漁業における兼業の実態」について紹介します。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度水産白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

漁船の隻数の推移です。

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日本の漁船の隻数は、動力船の普及で昭和40年代から50年代にかけて増加しましたが、平成期においては、いずれの規模でも減少しています。
特に沖合・遠洋漁業で使用される20トン以上の漁船が大幅に減少し、8割減となっています。
遠洋漁業や一部の沖合漁業で使用される200トン以上の大型漁船の減少は外国200海里水域や公海からの撤退による影響や、平成の中期の資源管理のための減船や国際的な資源管理のための減船が行われたこと等によって隻数が減少したそうです。
主に沖合漁業で使用される20~199トンの漁船の減少についても、資源管理のための減船や漁業不振による漁船の廃棄、加えて、資源量に対して漁船の数が多い状況が続いたことから、漁船を廃棄した場合には新たな許可を出さない運用があったことなどが要因だそうです。
沖合漁業や沿岸漁業に使用される10~19トンの漁船は、30年間で2割減、主に沿岸漁業に使用される10トン未満の漁船は、30年間で6割減となりました。これは主に沿岸漁業を営む個人経営体の減少によるものです。

漁船の船齢の状況です。

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この30年間、漁船の高船齢化が進んできました。
船齢20年以上の漁船の割合は、5~9トンの漁船では1988年の4%から2018年の83%に増加、10~19トンの漁船では1988年の5%から2018年の72%に増加しています。これは、高齢化や後継者の不在、経営不振などにより、漁船の更新が進んでいないためと考えられます。
20~199トン及び200トン以上の漁船においても船齢20年以上の漁船の割合は、30年間でそれぞれ4%から55%、2%から55%と増加しましたが、船齢10年未満の漁船の割合が平成後期から増加傾向となりました。これは、大型の漁船を使用する沖合・遠洋漁業を営む経営体の中で先の見通しが明るく、投資意欲のある経営体が新船を導入していることが理由と考えられます。

漁船の使われている状況です。

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日本の沿岸漁業では、時期により獲れる魚が違ったり、イカナゴ漁のように資源管理上、操業時期が限定されているため、複数の漁業種類を行う漁船が約2割あるそうです。
それ以外は専用、というのが素人には意外ですが、漁法の違いにより専用の船のほうが効率が良いのかもしれません。
複数の漁業種類を行っているのは、20トン未満の刺し網漁業や沿岸いか釣り漁業等の沿岸漁業の漁船と、さんま棒受網漁船が中心です。例えば、沿岸いか釣り漁船又は沿岸かつお一本釣り漁業を主とする漁船はひき縄釣り漁業やその他釣り漁業等の操業を、小型底びき網漁船又は中・小型まき網漁業を主とする漁船は船びき網漁業やその他刺し網漁業等の操業を行っているそうです。
漁法の専門用語が多くてわかりにくいので、以下にそれぞれのリンクを置きます。

改めて調べると、魚種に応じていろいろな漁法があるので、漁船を兼用しにくいものも多そうです。

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漁業経営体の兼業の状況です。

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約2割の漁業経営体が兼業を行っています。
具体的な内容としては、個人経営体では農業、遊漁船業、団体経営体では水産物の加工や小売業が多くなっています。
漁港の近くの即売所など、確かによく見かけます。直営のレストラン、行きたくなりました(笑)。


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