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漁場環境をめぐる動き・イカナゴ漁の事例(令和元年度水産白書より)

本日は、水産庁のまとめている、「水産白書」から「漁場環境をめぐる動き」について紹介します。
この中では、兵庫県のイカナゴ漁の事例が掲載されていました。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度水産白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

瀬戸内海では、高度経済成長期に「赤潮」がよく発生し、漁業や養殖業に大きな影響を与えました。
子供の頃、よくテレビのニュースで「赤潮」が取り上げられていたのを覚えています。
昭和40年代後半から「水質汚濁防止法」や「瀬戸内海環境保全特別措置法」が定められ、対策が進み、海もきれいになってきました。
須磨海水浴場も見違えるように透明度が上がっています。

しかし、1990年代後半から海域の窒素やりんの濃度が低下し、養殖ノリの色
落ちや、漁獲量の減少につながっている可能性が指摘されるようになりました。

兵庫県では、兵庫県立農林水産技術総合センターの水産技術センターがこれらの研究を行っています。

栄養塩の濃度とイカナゴの漁獲量との関係です。

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イカナゴの漁獲量と栄養塩濃度が同調して減少していることがわかります。
これを踏まえて、兵庫県は、2019年10月に「環境の保全と創造に関する条例」を改正し、全国で初めて海水中の全窒素及び全りんの濃度の水質目標値(下限値)を設定し、瀬戸内海の全窒素・全りん濃度が水質目標値(下限値)と環境基準値との間で適切な濃度となるよう、毎年度目標管理を行うこととしました。

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要するに、きれいにしすぎない、ということですね。
これに合わせて、下水処理の基準を変えたりもしています。

2020年3月には、開発したモデルシミュレーションを用いて、海域の貧栄養化が、植物プランクトン及び動物プランクトンの減少につながっており、その結果、主に動物プランクトンを餌とするイカナゴの長期的な減少に大きな影響を及ぼしていることも明らかにしました。

兵庫県では、県、神戸市、明石市、兵庫県漁業協同組合連合会が構成員となり、「ひょうご豊かな海発信プロジェクト協議会」が2018年4月に設立されました。
昨年神戸市立須磨海浜水族園で開催された企画展「令和もイカナゴを食べたい!そのために考える展~イカナゴが湧く「豊かな海」ってどんな海?~」もその協議会の行事のひとつです。

今年のイカナゴ漁も不漁が予想されています。
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