ダンスホール
果てしの無い山河の果ての更に果て
一向何も視えない 一向何も聴こえない
愛玩実験動物として
飼育調教されて来た
チンパンジーの咆哮により、
そこが最果てであることが如実に知れる
回転するミラーボールと生首
血みどろのダンスホールは払暁まで
虚空に充ちた灰色の空気が
階段を登る人と降りる人の妨げとなり、
私は激しく哭いた。
嘔吐する者は
緑色の涙を流せ
オーバードーズを恐れぬ者は
鈍色の脳髄に
幾千もの鋭利な針を突き刺せ
低音のグルウヴに群がる亡者ども
いつしか皆が皆、
己の骨壺を奪い合うが如く斃れてゆく
赦されざるものを啜り合う餓鬼の刻む調べ
時に浮かれ、また時に揺蕩うように
修羅の道はラムプによって照らされた
ダンスホールに集う若者は
合成麻薬の虜となって
最後の一人が頽れるまで踊り続けた
静脈を伝う線路沿いのステーション
ひとしずくの甘露を味わう
破落戸たちの瞳は潰れ、
生きた心地を吟味するのだ
腹を斬る者、後を絶たず
斬首される者、また後を絶たず
願人坊主が肉を食む。
南無阿弥陀佛
南無阿弥陀佛
硬質なそこはかとないシークェンス
我々は強かに足踏みをする
大地を踏み締め 南無阿弥陀佛
虚空を踏み締め 南無阿弥陀佛
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