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2023.11.27 「ちょうどいい」

朝から雨模様の一日だった。

一日何も予定が無いのはもう何カ月振りかで、積読もたくさん。雨も降っているし、メダカの餌やりに一瞬玄関先へ出て、あとは気ままに本を読もうと思っていた。

読みたい本が溜まっている。「よし」と読み始めると、そんな時に限って睡魔が襲ってくる。もうすぐお昼になる。お腹も空いてきた。でもこの本をもう一章、読んでしまいたい。でも、読み進めることができない。

そんな時に近所の方の訪問があった。珍しい方の訪問だった。でも、思いがけない嬉しい訪問だった。玄関を出るといつの間にか雨が止んでいた。

「ちょうど今日は雨が降ったから、植えるにはタイミングがええと思う」と、少しだけ残ってしまったという春菊の苗を分けてくれた。

睡魔と空腹に襲われていたタイミング、畑の畝にも空きがあり、私にもとてもありがたく。春菊も大好物だ。


午後。雨は上がっていたけれど、未だあまり優れない空模様に、何だか今日はたくさんの人と会いたくなくて、夕方の時間を避けて午後2時、隣町のスーパーへ出かける。帰ってきて、家の中へ入ろうとした時、右手にある郵便ポストから茶封筒がはみ出しているのが見えた。


『いっせいになにかがはじまる予感だけがする』

土曜日にネットでの販売が開始し購入したばかりの新刊がもう届いていた。
雨上がり、海に向かうと晴れ間が見えていた。

のもとしゅうへいさんの「いっせいになにかがはじまる予感だけがする」
自分と逆の暮らしをしている著者で気になり購入。
とても綺麗で優しい文章。

雨のおかげで一日、躊躇うことなく読書ができた。腰を上げたくても自力で上げられなかったタイミングで私にも畑にも嬉しい訪問があった。

雨上がりのタイミングでポストに入っていた本は、私が憧れる海辺の町の匂いがした。

何もかもが、ちょうど良い一日だった。

雨が上がった夕暮れ。
家の前の海上に広がる寂しい夕焼けが綺麗だった。

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